漫画家親子対談 ヒサクニヒコ×久正人
10/19に横浜市民ギャラリーで開催された「漫画家親子対談 ヒサクニヒコ×久正人」に行ってきた。
数年前に、ネットで「久正人はヒサクニヒコの息子」という書き込みを見た時は、あまりに出来過ぎてて、イマイチ信じられなかったんだよねw
ヒサクニヒコと言えば、小学生の頃は『おばけのはなし』、中学に入ってからは新潮文庫の恐竜図鑑を愛読してたんだけど、まさかその二十年後に息子さんの漫画を愛読するようになるとは!
まずは、大通り公園完成を記念して1978年に開かれた「ヨコハマ漫画フェスティバル」の作品紹介を中心に、ヒサクニヒコ氏による一コマ漫画論。
一コマ漫画はルールがなく何を書いてもいい。社会風刺や時代性が強く、早ければ一年後にはもう何を意味しているのかわからなくなってしまうものも多い。だから単行本になることもない。
しかし、当時を知るものが、それを伝えるためにも描くことは、一コマ漫画家の役割だとも語られていました。
ちなみに、「ヨコハマ漫画フェスティバル」の参加漫画家は、まるで締め切りを守らないので、一斉に集められて一箇所で描かされたとかw
作品は横浜市民ギャラリーの3階で展示中。あんまり意識したことなかったんだけど、赤塚不二夫、物凄く絵が上手いな。修正跡がないのが恐ろしい。
「これも私の作品です」とクニヒコ氏から、正人に交代w
続けて、久正人氏による作品の作り方。
横浜市民ギャラリーは、小学4年の時、先生に勝手に図工の作品を出品されたため、今回で二度目の登場だとかw
今回例として出されたのが『エリア51』
これに限らず、奇抜でひねった設定が特徴。
まず、あらゆる人外が暮らし、夢の共演ができる町を考える。
箱ができてしまえば、それに合わせて中身はどんどん出てくる。『エリア51』の関して言えば、ハードボイルド調を考えたので、町の顔役はマフィアのような神族たちのファミリー。妖怪たちといえど、生活しているのだから、バーもあるし娯楽もある。
コントラストの強い絵柄は、『グレイトフルデッド』後、パッと人目を引く絵を考えている時に、『シンシティ』と出会い、その影響。
『ジャバウォッキー』の頃で、19世紀の歴史的建造物と恐竜が映える絵柄でもある。
最後は親子対談。
久正人氏は恥ずかしそうだったなぁw
まず、スクリーンに映し出されたのは、いつもの実録(?)漫画風に描かれた、今回の対談に至る経緯。3ページ目も加筆して、単行本に収録してほしいなぁw
カメラワーク、時間の経過、動き、話の転換、など、書き手も読み手も普段は意識していないだろうけど、コマを割ることによって出来る表現を久正人氏が解説。
おそらく、アニメのように動きを表現しようとしたことが、コマ割りの原点じゃないかと考えているようです。
漫画家だからって、ここまで理論的に分析できるものじゃないよなぁ。
一コマ漫画でできないのは時間経過の表現かと思ったけど、向かって右手に大きな空間を残すことで、長考している表現ができるか、といったそばから、それなら蜘蛛の巣張れば、とクニヒコ氏が描き足したのがこれ。さすが!
また、ストーリー漫画と一コマ漫画の違いは、書き手の違いでもあって、一コマ漫画家は画家やイラストレーターに通じる部分があって、ほぼ必ずサインが書かれている。
この後は、正人氏の子供時代の話など。
クニヒコ氏は、絵の描き方などは指導したことはないそうだけど(鱗を描くのはバイトで手伝ってもらったそうですw)、正人氏は絵本で父親の絵を子供の頃から見ていたので、その絵柄は好きだったとか。
河童は影響されていると言ってました。
子供の時から絵は好きだったけど、あえて恐竜は避けていたとか。ところが『ジュラシックパーク』を見てハマり、家には資料だらけw
モンスターをデザインするときもシルエットから考えて、そこからディティールを詰めていくとか。
『ジャバウォッキー』のヴェラキラプトルの爪については、クニヒコ氏から苦言があったとか。
新説が発表されたからといって、それに振り回されるてほしくないと仰ってました。
あとTレックスはひどすぎw
夏休みの工作で作った弓道場の話とか、インタビューでも聞けないような話が色々と出てきて、両先生のファンとしては大変濃密な時間を過ごさせていただきました。
中学の頃の愛読書、新潮文庫の恐竜図鑑にサインを頂く。
『幽幻夜想曲』にサイン! これは自慢できる逸品w
『びっくりモンスター大図鑑』にもサインを入れていただきました。ヒサクニヒコ氏の似顔絵。似てるw
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