今年の読了本2012
今年の読了本を回顧。
SFは、少なかったかなぁ、と思ってたんだけど、振り返ると思いのほかあるなぁ。
『アンドロイドの夢の羊』*1は最近の青背では珍しく非シリーズもので、深いこと考えず、楽しいSFだった。
『黒き計画、白き騎士』*2も良かったなぁ。こちらはシリーズものだけど、短篇集でこの一冊だけでも十分に楽しめる。
『6日目の未来』*3も結構好き。
ハヤカワのミリSFは収まったような、相変わらずのような中、唯一読んでいる〈彷徨える艦隊〉第二部『戦艦ドレッドノート』*4がスタート。
新銀背は無事刊行。粒ぞろいで、『第六ポンプ』*5、『サイバラバード・デイズ』*6とハードな作品も取り上げてくれるのが嬉しい。〈リヴァイアサン〉三部作は『ゴリアテ』*7で完結。1巻の興奮は薄れちゃったけど、三冊通して楽しませてもらいました。『ブラック・アウト』は来年読みます。
〈時間封鎖〉三部作は『連環宇宙』*8で完結。風呂敷をどう畳むのか心配していたけど、職人的手際で見事に〆。
『キリストのクローン―覚醒―』*9もこれにて完結。
ガイブンの流れから、『極北』*10と『青い脂』*11。前者は正統的なポストアポカリプスもので、後者は変な小説好きなら必読。
相変わらず、過去の名作はさっぱり読んでないんで、恐る恐る『ユービック』*12と『九百人のお祖母さん』*13に着手。両方とも、面白かったですよ。
ファンタジーは、全然読んでないんだよなぁ。
パラソル奇譚は『アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る』*14で、まだまだ余力を残しながら完結。
一方、(株)魔法製作所のセカンドシーズン『魔法無用のマジカルミッション』*15が日本訳しおろしとして刊行。
SFとファンタジーにまたがることだけど、スチームパンクは軌道に乗るのか?
ミステリも意外に手をつけてるなぁ。
個人的には、シリ先生シリーズ『三十三本の歯』*16がぶっちぎりでお気に入り。もうミステリというか、ホラーに近いけど。続刊希望!
改変SFとしてはパンチが弱いけど、『鷲たちの盟約』*17は非常にリーダビリティがよかった。
これもミステリというか、文学寄りだけど、『フリント船長がまだいい人だったころ』*18は渋かったなぁ。
同じく『暴行』*19も純然たるミステリではないけど、非常に衝撃的な作品。
一番ミステリっぽいのが、コミカルな『通信教育探偵ファイロ・ガッブ』*20。こういうの大好き。
ホラーは、
ケッチャムの映画原作『ザ・ウーマン』*21。面白かったけど、ケッチャムの中では薄味。
やはり映画に合わせて&クトゥルフブームに乗って、『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』*22。これはなんといっても、ラムジー・キャンベルの短篇集的な側面が強いのが好事家にはなんとも。
ジョー・ヒル待望の新刊『ホーンズ 角』*23も今年。
古典だけど、『秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集』*24、『ゴーストハント』*25、『夜の声』*26は、クラシック故に、今も十分に怖い。
小説でないけど、『グラン=ギニョル傑作選』*27のグロテスク趣味もたまらない。
パラノーマル・ロマンスはほとんど読まなかったんだよなぁ。
ナリーニ・シンの『封印の獣と偽りの氷姫』*28は質が高い物語をコンスタントに出してくれる。
『星のかけらを奏でて』*29は『緑の瞳のアマリリス』と同じ宇宙を舞台にしたシリーズ。
その他エンタメ系小説では、
『シャンタラム』*30がべらぼうに面白かった。実話を元にしているかどうかなんてことはどうでもよくて、波瀾万丈の冒険物語は読むのをやめられないほど。
『風の影』待望の続編『天使のゲーム』*31は、期待通りの重厚さ。
『時の地図』続編『宙の地図』*32は前作と違い、もろにSF。
その他海外文学は、
『タイガーズ・ワイフ』*33は今年ベスト級のお気に入り。クレストはやはり無視できないなぁ。
エクス・リブリスもコンスタントに刊行。『地図になかった世界』*34、『河・岸』*35、『ブルックリン』*36、『ぼくは覚えている』*37あたりがお気に入り。
東欧の想像力は『墓地の書』*38が強烈。「サムコ・ターレ、ウンコ・ターレ」は忘れられそうもない(笑)
フラバル・コレクションなんてものもスタート。『厳重に監視された列車』*39
また、松籟社は『わたしの物語』*40、『瞳孔の中』*41など、油断できない。
岸本佐知子セレクションに外れなし!『居心地の悪い部屋』*42
古本では、『詐欺師の楽園』*43は純粋にエンタメとしても面白かったなぁ。結構な古書価がついちゃってるのがもったいない。『ムントゥリャサ通りで』*44は変な小説好きなら読んで損なし。予習で読んだ『ピノッキオの冒険』*45が、ピノッキオが糞野郎すぎて大笑い。
解説本だけど、『魔術的リアリズム』*46は必読。
日本人作家はほとんど読んでないんだけど、
『本にだって雄と雌があります』*47は、今年のベスト1にあげてもいいなぁ。
ノンフィクションは去年ほど強烈なのがなかったんだけど、『ザ・ビッグイヤー』*48、『未解決事件―死者の声を甦らせる者たち』*49、『冥王星を殺したのは私です』*50、『マスコット』*51あたりが良かったかなぁ。
アメコミ読みなら『有害コミック撲滅!』*52は大変勉強になります。
海外コミックは、読むのも買うのも負担になるほどの出版量。
その中でお気に入りは、『3秒』*53、『ウォーキング・デッド』*54、『フラッシュ・ポイント』*55、『オールスター:バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー』*56、『サルヴァトール』*57、『スーパーマン:レッド・サン』*58、『フラッシュポイント:バットマン』*59、『闇の国々II』*60、『I KILL GIANTS』*61、『カバーラン』*62と刊行数に合わして傑作も多い。
絵本だけど『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』*63は、別に言及する必要もないか。
『カバーラン』は出るとは思ってなかった……
今年も新刊ばかりだなぁ。
来年こそは、半分は古本にしたい。
ではでは、良いお年を〜
*2:黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 (ハヤカワ文庫SF)
*4:彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)
*6:サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
*7:ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)
*9:キリストのクローン/覚醒 上 (創元推理文庫)、キリストのクローン/覚醒 下 (創元推理文庫)
*14:アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)
*15:魔法無用のマジカルミッション (?魔法製作所) (創元推理文庫)
*17:鷲たちの盟約〈上〉 (新潮文庫)、鷲たちの盟約〈下〉 (新潮文庫)
*18:フリント船長がまだいい人だったころ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
*22:クトゥルフ神話への招待 ~遊星からの物体X (扶桑社ミステリー)
*24:秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)
*30:シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)、シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)、シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)
*31:天使のゲーム (上) (集英社文庫)、天使のゲーム (下) (集英社文庫)
*32:宙の地図 (上) (ハヤカワ文庫NV)、宙の地図 (下) (ハヤカワ文庫NV)
*46:魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)
*48:ザ・ビッグイヤー 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲
*49:未解決事件(コールド・ケース)―死者の声を甦らせる者たち
*52:有害コミック撲滅!――アメリカを変えた50年代「悪書」狩り
*56:オールスター:バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー (DC COMICS)
*58:スーパーマン:レッド・サン (ShoPro Books)
*59:フラッシュポイント:バットマン (DC COMICS)
*61:I KILL GIANTS (IKKI COMIX)