一代宗師



『グランド・マスター』鑑賞

ブエノスアイレス」「花様年華」のウォン・カーウァイ監督が初めてカンフーを題材に取り上げ、ブルース・リーの師匠としても知られる伝説の武術家イップ・マンの物語を描く。1930年代の中国。引退を決意した北の八卦掌の宗師(グランドマスター)・宮宝森(ゴン・バオセン)は、一番弟子の馬三(マーサン)と、南の詠春拳の宗師・葉門(イップ・マン)を後継者の候補と考えていたが、バオセンの奥義を受け継ぐ娘の宮若梅(ゴン・ルオメイ)も自ら名乗りを上げる。しかし、野望に目のくらんだマーサンがバオセンを殺害。ライバルでもあるイップ・マンに惹かれていたルオメイは、その思いを封印して父の復讐を誓い、後継者争いと復讐劇は複雑に絡みあっていく。出演はトニー・レオンチャン・ツィイーチャン・チェンら、香港・中国・台湾のスターが集結。

各流派の宗師が集まり、最強のグランドマスターの名をかけて闘う中、詠春拳八卦掌八極拳の男女の三角関係が描かれる……って話かと思ってたよ。


それが見たけりゃ、大擂台賽編を読めって?


カンフーシーンでは、衣擦れと謎の空気音(ヴォッヴォッってやつ)、砂煙が舞い、街行くおばさんも使い手、という俺達が自慢されたい中国を見せてもらえるんだけど、格闘と格闘の間がどうにもかったるい。映像が美しいのは認めるし、カンフーシーンも総量としては多いと思うんだけど、しょっちゅう、心象風景や回想が挟まるので、ひじょうに細切れの印象。
そもそも、物語の目的がどこに向かってるかわからないんだよね。観終わってから、「ああ、イップマンの半生記か」と気づくくらい。
どうにも全体的な統一感に欠き、特に八極拳のカミソリの必要性が皆無。ルオメイの必殺技も見せてくれないしなぁ。


というわけで、予告とはだいぶ印象の違う映画でした。