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クラウド・アトラス 上

クラウド・アトラス 上

クラウド・アトラス 下

クラウド・アトラス 下

19世紀の南太平洋を船で旅するサンフランシスコ出身の公証人。第二次大戦前のベルギーで天才作曲家に師事する若き音楽家。1970年代のアメリカ西海岸で原発の不正を追及する女性ジャーナリスト。現代ロンドンでインチキ出版社を営む老編集者。近未来の韓国でウェイトレスとして生きるファブリカント。遠い未来のハワイで人類絶滅の危機を迎える文明の守り手。身体のどこかに不思議な彗星のあざを持つ主人公たちが、支配と暴力と抑圧に抗して叫びをあげる。現代英語圏屈指のストーリーテラーの代表作。ブッカー賞ネビュラ賞アーサー・C・クラーク賞最終候補、ついに翻訳刊行!!!
古人が遺した技術を調査に赴く文明の守り手。レストランから逃亡し革命に身を投じるファブリカント。施設からの脱出を模索する老編集者。殺し屋に追われながら取材を続ける女性ジャーナリスト。究極の旋律を探る若き音楽家。交易船の上で次第に衰弱してく公証人。強者が弱者を貪る世界の果てには何が見えるのか。雲が空を横切るように、魂は時代を横切る。人間と世界の歴史を映しだし、クラウド・アトラス(雲の世界地図)はついにその円環を閉じる。21世紀世界文学の金字塔たる六重構造の物語がついにその全貌をあらわす。

『ナンバー9ドリーム』*1もそうだったんだけど、デイヴィッド・ミッチェルの小説って分厚い割に、なんか軽いんだよなぁ。薄いとは言わないけど、重厚さに欠けるというか。


19世紀の南太平洋を船で旅するサンフランシスコ出身の公証人。
第二次大戦前のベルギーで天才作曲家に師事する若き音楽家
1970年代のアメリカ西海岸で原発の不正を追及する女性ジャーナリスト。
現代ロンドンでインチキ出版社を営む老編集者。
近未来の韓国でウェイトレスとして生きるファブリカント
遠い未来のハワイで人類絶滅の危機を迎える文明の守り手。


の六つの物語。
終末後のハワイを中心として、残り五つが同心円上に前後編として配置されている。
それぞれの物語は基本独立しているんだけど、それぞれが入れ子構造として前の物語に関わっており、見覚えのあるエピソードが出てくるのは楽しいと同時に、作品内リアルのベースがどこにあるのか、見当識を見失うような混乱にも陥る。


SFあり、スラップスティックあり、陰謀あり、書簡形式あり、とジャンルばらばらの六つのエピソードはみんな面白いんだけど、六重六重と言うほどの関係性は薄いんだよね。
波紋のように次の物語に影響するわけでも、六つの物語が次々と箱が閉じられていく様子に「おお!」というカタルシスもないし。


面白いにもかかわらず、正直言って期待はずれ。
抜群のストーリーテリングが、同時に、いい意味でも悪い意味でもゲーム的な触感を与え、読後感が非常に薄い。
この軽さが、もしかしたら、映画にはあってるような気もするんだよね。


ところで、『ナンバー9ドリーム』のキャラが出てくるらしいけど、誰?