Dark Shadows

『ダーク・シャドウ』鑑賞
親友と恋女房とともに、ティム・バートン監督最新作。



1960年代にアメリカでカルト的人気を集めたTVドラマ『Dark Shadows』の映画化。更に言うなら、そのドラマの総集編映画『血の唇』(邦題)のリメイク。
せっかく、『血の唇』のノベライズ*1を読んだので、まずそれとの比較から。


アレンジは非常に上手い。
キャラの役柄、配置は倣っているけど、その処理はバートン・オリジナルといってもいいくらい。特にエリザベスを当主にしたのは正解だと思う。それでいながら、それぞれの処遇は概ね一緒というのが、原作をよく消化していることが分かる。ロジャーのアレンジは感心してしまった。
また、魔女は今回のオリジナル要素なんだけど、それが余計なものではなく、バーナバスのキャラクターを補完する形になっているのは巧み。二人のラブシーン(?)の「汚されちゃった……」って感じのバーナバスは最高。


そもそも、『血の唇』はゴシックホラー。それをコメディ色を強くしたのはよく考えられていると思う。バートンが青春時代に聴いていた音楽がばしばし流れるのは珍しいと思うんだけど、それと当時の色彩、バーナバスの異彩をコメディによってまとめあげている。


一方、これは意図的なのか、そうせざるを得なかったのかわからないけど、『血の唇』よりははるかにキャラクター造形の掘り下げは行われているものの、
やはりちょっと駆け足感。これは、あくまでドラマの前提があるんだよ、という言外の演出と見るべきなのかなぁ。


ラストバトルも新要素。ちょっと長いかなぁ。面白かったけど。アンジーがひび割れていく異形感はたまらない。あそこまでやるなら、ジョンソン婦人も……というのが欲しかった。


ティム・バートン作品の中では、中の上くらい? もうちょいあげてもいいか(笑)
ヴィジュアルは監督の思い描いているものと、観客が求めているものが合致し、それがちゃんと映像化できている感じ。
アウトサイダー、フリークを描くのがライフワークのバートン。ジョニー・デップは「そこには属せない」キャラを演じるのが上手い。今作は監督のイメージに、いつもどおりしっかり答えている。海賊よりも、遥かにいいもんなぁ(笑)
それにしても、、最近の作品は家族が大事、というテーマに着地するものが多いけど、今回も直球でそれ。やはり、年取ったなぁ(笑)