LAND OF THE SNOW MEN

雪男たちの国

雪男たちの国

『雪男たちの国』ノーマン・ロック〈河出書房新社

病院の地下で発掘されたスコット探検隊の生存者による手記。しかし、その書き手は、スコット探検隊の翌年に慰霊碑を建てに向かった建築家なのだ。凍った影や死者の音楽、氷河に現れた赤い靴の女、妄想なのか、それとも……

好物の変な話。
……なんだけど、断片っぽくて、微妙に好みからずれてるかなぁ。
挿入されている奇怪なエピソードはなかなかいいんだけどね。
目が覚めたら南極にいるという状況がおかしいのを自覚しながら、氷河に突然女が現れて、こんなに早く消えてしまうはずがない、という狂った論理。また、死者の声から生き延びるヒントを得ようとするも、キャンディーがないと嘆く少女が現れて、悲しい気分に陥る男たち。
逃げ場が無く、狂気に逃げるしかない男たちの絶望が、無関係のはずの日記から浮かび上がってくる。