虚擬街頭漂流記

虚擬街頭漂流記

虚擬街頭漂流記

『虚擬街頭漂流記』寵物先生〈文藝春秋
第1回島田荘司推理小説賞受賞作。

2020年、台湾政府は大地震の被害で寂れた台北きっての繁華街・西門町をネット上に仮想都市として再建する計画を進めていた。仮想都市=ヴァーチャストリートの制作に携わるエンジニア・顔 露華はシステムのバグを点検するため、上司の大山とともにヴァーチャストリートへ進入し、謎の男の撲殺死体を発見する。仮想空間でその人間に起った出来事は、特殊なスーツを装着することで現実の人体にも反映される。つまり、現実世界でもその男は殺されたのだ。だが、殺人が起った時間帯にヴァーチャストリートに存在したのは露華と大山のみ。しかも二人には完璧なアリバイが?

まさか、不良外文読みが島田荘司を冠する小説を読むことになろうとは!
そもそも、島田荘司推理小説賞とはなんぞや? ということなんだけど「中国語で書かれた未発表の本格ミステリー長篇を募る新人賞」とのこと。
あまり台湾の小説に触れる機会がないし、しかもSF風ガジェットを使っているので期待したんだけど……
ミステリ読みに聞きたいんだけど、これ、面白いの? 完璧なアリバイでもないし。
SF的に読んじゃうと、古いというか、甘いよなぁ。セカンドライフ的ヴァーチャル空間で他人に暴力振るえちゃうシステムは欠陥でしょ。それ以前に、物語の設定もなんだかなぁ。
まぁ、作者はミステリやSFを使って、別の主題を書きたかったんだろうけど、それも今更感が。
あと、訳文のせいなのか、現代台湾小説の文体なのかは知らないけど、日本の小説を読んでるみたいで、カルチャーギャップが皆無で、読む意味なかったなぁ。


島田先生の選評に「2ジャンル(SFとミステリ)の才能の融和という結果は、日本人の自分には、ずいぶんと稀な、貴重な出来事に思える」
そうか?