中国幻想小説傑作集
- 作者: 竹田晃
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1990/12
- メディア: 新書
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新刊が届くまでのつなぎのつもりだったんだけど、意外に楽しめた。
収録作品
中国幻想小説、と言われても、昔話的な怪談が載ってるイメージが強い(あながち間違ってなかったけど)。中国の怪談は、どこかで聞き覚えのある元ネタレベルで今さら感が強かったんだけど、考えて見ると、その原型をちゃんと読んだことがなかったのでいい機会だった。
面白かったのは、そういう妖怪がいる、ではなく、そういう国がある、的な感じなのね。実際いろんな民族がいるし、この辺は山海経にもつながっていくのかな。
あと、女の物の怪、幽霊がけっこうエロくない?(笑)
お気に入りは、
・「枕の中の人生」
先日読んだ某短篇の元ネタ(笑)
「胡蝶の夢」とか、夢オチ多くない?
・「牡丹灯篭」
日本の怪談映画のイメージしかなかったんだけど、元はけっこうなゴーストハンターものなのね。
完全に「中華街で大騒動」に脳内変換(笑)
鉄冠道人が格好良すぎ。
・「邑人」
「聊斎志異」の一篇。
村に住む男。
目が覚めると、男たちに市場に連れて行かれ、半分に切った豚肉に押しつけられてしまう。
奇妙な話的にはこれが一番。
全く意味がわからん。
・「郭秀才」
「聊斎志異」の一篇。
山の中で不思議な宴席に招かれた男。
彼の飲みっぷりに、芸を見せてやる、と男たちは肩車でハシゴのようになり……
ビジュアル的になかなかモダン。
・「秋の水」
期待していんだけど、デジャヴかと思ったら『白い犬とブランコ』*1で既読。
年代記の一部で、色々と気になったまま終わっちゃう。
大洪水や、一面水浸しで鏡のようになった大地は、マジック・リアリズム的に読むことも出来るかな。