狂鬼降臨

狂鬼降臨 (ふしぎ文学館)

狂鬼降臨 (ふしぎ文学館)

『狂鬼降臨』友成純一出版芸術社
よもやの復刊!


・「狂鬼降臨」
 既読なんで、好きな部分(っていうのもアレだけど)だけ流し読み。


・「地獄の遊園地」
 有名漫画家の夢が実現化した巨大テーマパーク。
 突然、そのアトラクションが、客たちの殺戮を始める。
 これ、いろんな方面に大丈夫なの?(笑)


・「呪縛女」
 セックスによって男だけが罹る、肉体が腐る退廃病。
 政府は山手線内を封鎖し、国家を存続させようとしていた。
 それを乗り越えて侵入する女たちは殺さねばならない。


・「蟷螂の罠」
 エリートコースを走るサラリーマン。
 ゴルフ場に向かう途中、自分をバカにした若者の車を見つけ出し……


・「地獄の釜開き」
 人間が死ななくなり、暴力だけの世界へとなり果てた。
 いつもつるんでいる4人組は、以前生き埋めにした少女を掘りおこしてみることに。


本の半分以上が「狂鬼降臨」。人体も遺体もそこには人格がある。しかし、人間なんて所詮は糞袋と言い捨て、肉塊と化する描写だけを続ける本作はある意味必読。まぁ、自己責任で(笑)
「地獄の釜開き」は「狂鬼降臨」の1エピソードという趣で、狂気とエログロの極致を担う作品で素晴らしい。特に虫が……
あとの短篇は、人体破壊描写はいつもどおりの執拗さなんだけど、ストーリー自体は割と普通なんだよなぁ。あとがきにある初期作品の狂いっぷりがない。
もっと、似たようなテイストの作品(「猟人日記」とか)をチョイスするか、もしくは「狂鬼降臨」と「地獄の釜開き」だけの方が統一感があってよかったような気がする。