THE DIAMOND LENS and Other Stories
- 作者: フィッツ=ジェイムズオブライエン,Fitz‐James O'Brien,大瀧啓裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/12
- メディア: 文庫
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以前サンリオSFから出ていた『失われた部屋』の新訳+未訳4編
- 「金剛石のレンズ」The Diamond Lens
- 「チューリップの鉢」The Pot of Tulips
- 「あれは何だったのか」What Was It?
- 「失われた部屋」The Lost Room
- 「墓を愛した少年」The Child Who Loved a Grave
- 「世界を見る」Seeing the World
- 「鐘つきジューバル」Jubal, the Ringer
- 「パールの母」Mother of Pearl
- 「ボヘミアン」The Bohemian
- 「絶対の秘密」A Dead Secret
- 「いかにして重力を克服したか」How I Overcame My Gravity
- 「手妻使いパイオウ・ルウの所有する龍の牙」The Dragon Fang Possessed by the Conjurer Piou-Lu
- 「ワンダースミス」The Wondersmith
- 「手から口へ」From Hand to Mouth
怪奇、幻想系では絶賛されてますが、正直、それを味わうには素養が足りなかったかな。
ストーリーテリングやら、情感とかを楽しむ以前に、どうしても年代がかった主人公の構成が気になっちゃう。『不思議なミッキー・フィン』もそうだったけど、主人公の万能っぷりは、ある年代以前の典型?
それでも気に入った作品は、
「金剛石のレンズ」
顕微鏡の魅力に取りつかれた男。彼は巨大なダイアモンドで最高倍率のレンズを作り上げる。それで水滴の中に見出したのは、美しい世界と絶世の美女。決して触れあうことはできないと分かりながらも、彼はその女性の虜になってしまう……
最先端科学(当時の)を偏執的に突き詰め、そこから一気に通常では見えない異次元にジャンプする、という展開に、イーガンの量子SFを見てしまいました。間違い?
「失われた部屋」
不気味な城に部屋を借りている男。夜の散歩から帰ると、そこには見知らぬ男女が宴を催している。さらに部屋の調度も変わってしまっている。彼らの正体は? 自分の部屋は?
説明不足はあるものの、不条理感はなかなかいい。
「絶対の秘密」
意地悪な伯父から家を追い出され、金もなく、ひょんなことから死んだ男と入れ替わった青年。しかし、謎の組織に追われ続けることになってしまう……
個人的にはこれが一番面白かった。今読んでも全く古びてない。
「いかにして重力を克服したか」
ジャイロスコープを巨大化し、空中浮遊機を作り上げた素人科学者。ついに、それを始動させたが……
のどかな雰囲気がいい感じ。これも、「手から口へ」もオチは今ではやりにくいなぁ(笑)
あとがきの、「本好きの君なら、この魅力が分かるよね?」的な絶賛っぷりはかなり面白い(笑)