PALADIN OF SOULS

影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)

影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)

影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫)

影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫)

『影の棲む城』ロイス・マクマスター・ビジョルド創元推理文庫F587-04,05〉
〈五神教シリーズ〉第二弾

あれから3年。呪詛も晴れ、娘は国主となり、母も亡くなった。何もなくなったイスタは、このまま城に閉じ込められているのが耐えられなくなり、巡礼という名目で、わずかな供を連れて旅に出る。しかし、途中、敵国ジョコナの部隊に囚われてしまう。それを助けてくれたのは、亡き夫の寵臣ルテス卿の息子、アリーズだった。時同じくして、イスタは異様な夢を見始め、再び神から第二の視覚を与えられてしまう。アリーズには怪我をしたまま目覚めない弟がおり、それはイスタの夢に出てきた男だった。さらに、そこに魔の力も感じ……

カザリルやイセーレの活躍を期待していたのに、今度の主人公はイマイチ印象の薄かったイスタか……とがっかりするのは早すぎる。
イスタも新キャラも、ひじょうにキャラは立っていて魅力的。特に元気少女の急使のリスは、突然侍女にさせられ、慣れないドレスにぎこちない動き、と完全に脳内補完(笑)。またイスタは、皮肉と知恵で『メモリー』のマイルズを彷彿とさせるような活躍。
前作がカザリルの知謀と忠誠による宮廷の戦いだったのに対して、今回は神や魔のシステムがくわしく説明され、いわゆるファンタジーっぽい。とはいっても、異世界ミステリ風であったり、ファンタジー的な戦いがあったり、けっして一本調子ではなく、リーダビリティも相変わらずいい。
この後は大きな戦争になって、カザリルやイセーレと一緒に、イスタの冒険も是非読みたい! と思ったら、3巻は全く別の物語になるとか。それでも、ビジョルドストーリーテリングは期待を裏切らないでしょう。