THEIVES OF BAGHDAD

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イラク博物館の秘宝を追え』マシュー・ボグダノス&ウィリアム・パトリック〈早川書房

2003年4月のバグダッド陥落後、怒れる民衆がイラク国立博物館に大挙して略奪のかぎりをつくした。失われた数万点の品々は全人類共通の遺産、文明の揺籃ともいうべき5000年前の秘宝であり、値段がつけられないほど貴重なものだ。 普段はニューヨークの地方検事補を務めるマシュー・ボグダノス海兵隊大佐は、テロリストへの武器と資金の流れをつきとめて断ち切るための新部隊――FBI、ICE、陸海空軍、海兵隊などさまざまな組織からなる統合超機関調整グループ(JIACG)――の指揮を任され、イラク南部に展開していた。博物館略奪の話を漏れ聞いた彼は、みずからの判断でチームを引き連れて急遽バグダッドをめざす。古代遺物窃盗の上がりはテロ資金として武器や爆弾に変わりうるし、それを捜査するのにはあらゆる分野のプロを擁するこの混成部隊はうってつけだ。また、なによりも彼は西洋古典の学位をもつ読書家で、貴重な文化遺産の喪失にいてもたってもいられないのだ! 博物館は激しい戦闘の傷痕をたたえて荒れ果てていたが、ボグダノスは検察官としての長年の経験から、単なる暴徒以外のタイプの犯罪者の痕跡を見出していく。 海兵隊員として携えたライフルのほかに、古代への情熱、明晰な思考、そしてまわりの人々に向ける愛情を武器として八面六臂の活躍を見せた著者が、メソポタミアの至宝の数々を取り戻すまでを綴った、知的な冒険に溢れるノンフィクション。(カバー紹介文より)

かなりそそられる紹介文。統合超機関調整グループという単語に中二病患者としては刺激されまくり、リアル・MASTERキートンみたいなのを期待していたら、ちょっと違った。
博物館に携わっている描写は半分くらい。美術品盗難ドキュメンタリーとしては、なんか物足りない。むしろ、変わり種の戦場ものとして読んだ方がいいのかも。
対テロは今も進行中だし、著者は実際に911に遭遇していて、あえてなのかもしれないけど、この手の文章でドラマティックでないのは、不謹慎ながら読者としては退屈しがち。
アメリカ軍人としての正論が強すぎて、アメリカが言うところの解放がもたらした混乱、非戦闘員への仕打ち、大量破壊兵器が発見されなかったことに対してはどうなのよ? という疑問が読書中離れなかった。