HOUSE OF LEAVES

紙葉の家

紙葉の家

『紙葉の』マーク・Z・ダニエレブレスキー〈ソニー・マガジンズ〉読了
以前から読もうと思いつつ、やっと着手。
持ち運べるサイズでないんで、でちまちま2週間掛けて読了。

アッシュ・ツリー・レーンの小さなに引っ越してきた一。ある日、壁によりも長い暗い廊下が現れる。さらにその向こうは広大な迷路となっていた。その探索行を撮影したドキュメンタリー『ネイヴィッドソン記録』。アパートの一室で死んでいるのが見つかった盲目の老人ザンパノ。彼は、あらゆる紙に『ネイヴィッドソン記録』に関する考察と膨大な脚注を記していた。それを手にしたジョニーは取り憑かれたかのようにザンパノの記録をまとめ、自らも脚注を記し始める……

ハウスhouse)という文字は全て青で印刷、延々と続く脚注、超変則的なレイアウト、巻末の資料、と装丁からして珍本の類なんだけど、中身もかなりのもの。
基本的には異次元のような家を描いたホラー。あちこちで言及されているように、『プレア・ウィッチ・プロジェクト』を文字で表現したような感じ。『サイレントヒル』(特に「4」)にも感触が似てるかな。
ホラーとしてもけっこう怖いんだけど、異様たらしめているのは、その脚注。ほとんどデタラメのザンパノの脚注と、自分の近況を長々と脚注に書く編者のジョニー。そもそも脚注に自身のことを書くことも、なぜかジョニーの母からの手紙が巻末についているのも意味がわからないんだけど、そこにジョニーもまた狂気と闇に囚われていく様がわかり、脚注と本文と『ネイヴィッドソン記録』がリンクし始める。
特に、闇の迷路で遭難するIX章の脚注は、脚注Aの脚注B、Bの脚注C、Cの脚注がA……と堂々巡りして、この章から出られるのか? という言いようのない閉塞感と恐怖を感じた。
また、内容にあわせて、狭くなったり広くなったり逆さまになったり回転するレイアウト。それに加えて、線で消された文、判別不能でXで記された文、[ ]で穴の空いた文。でかい本なんで、物理的にも内容的にも疲れた(笑)
全く読み込めていないし、深読みできるかどうかもわからないけど、文字に飲み込まれていく読書感は何とも気持ち悪い。
奇想・異色系好きにはオススメ。
書痴なら、文庫にも落ちないだろうし、10年後を見据えて買っておくこともオススメ(笑)