SOLEIL CHAUD , POISSON DES PROFONDEURS

熱い太陽、深海魚 (1981年) (サンリオSF文庫)

熱い太陽、深海魚 (1981年) (サンリオSF文庫)

『熱い太陽、深海魚』ミシェル・ジュリサンリオSF文庫36−B〉読了
あらすじまとめるのが面倒なんで、そのまま裏表紙から引用。

2039年――地球全体が超システムで統合されている時代に奇妙な病気が流行しはじめた。熱い太陽は全身がまだら模様に、深海魚は鱗状の湿疹が浮きあがる。ともに社会への不適応からくる分裂性逃避症候群だ。この病気が精神的にも物質的にも安全を保障している平和な社会……ブレイン・コンタクトの管理のもとにイメージメーカーのシナリオに従って空間幻覚と模像知覚を通じて夢想する太陽や海や草原といった偽りの冒険を与えてくれる超システム社会を脅かしている。それでなくても技術者同士のいさかいに端を発した超システム間の戦争、拡大するメカニズムの危険を予言して何百万もの弟子から信奉されている無政府主義者の活動があるのだ。それにしても熱い太陽と深海魚は病気といえるのか? 空の彼方の楽園への燃える生と、冒険への欲求、そして母の子宮という海へ、世界の奥底にひそむ安息と神秘への欲求が何の病気なのか? フランスSF界の鬼才による力作。

なんだか、さっぱりな解説ですが、読んでもこんな感じ(笑) というか、ネタバレしてないか?
秘密結社「上から目線で、無理して買う必要ないよ」の会の末席として読んだんだけど、予想外に面白いです。
……とは言っても、固有名詞はなかなか見分けられないし、誰が誰で、どの陣営に属しているのか、かなり読みにくい文章で、エンタメ的な面白さではないんだけど、SFとしてはよくできてると思う。
ディストピア的なシステム管理社会、バーチャル世界に依存する人々。しかし、超システム間の争いにより文明は歪み始め、バーチャルが現実世界を浸食していく様は、かなり狂ってる。〈深海魚〉の閉塞感は嫌だなぁ。
個人的にはブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)とか宇宙消失 (創元SF文庫)辺りを先取りしてると思う。
チャンスがあったら、読んでみてください。