THE COLLECTOR COLLECTOR
- 作者: ティボールフィッシャー,Tibor Fischer,野口百合子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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なんとも、そそられる題名!(笑)
若き美術品鑑定人ローザの元に依頼された皿は、
数千年間世界を渡り、意思を持ち、あらゆるものに姿を変えることができる存在だった。
今までに無数のコレクターたちの手に渡ってきたが、
その実、そのコレクターたちが「それ」によって分類・ナンバリングされて暇つぶしの材料になっていた。
それが、これまでに蒐めてきた、変人たちの奇妙な人生の数々……
縦軸として、
美人なのに全く男運かせないため、井戸に恋愛コラムニストを閉じこめて、
素晴らしい恋人を捜しているローザの物語があり、
横軸が、
陶器の記憶を感じることが出来るローザに、「それ」が見せる様々な人々の物語と、
ローザの家に押し掛けてきた、色情狂で盗癖のあるニキの経験がある。
基本的には陶器が、ずーっと変人たちの記憶を語ってる体裁。
書くもの書くもの、全てがタッチの差で文豪たちに先んじられる女性が、
晩年は貴族と結婚して、庭に病院を建てて精神病者を蒐集する話が結構面白い。
陶器が全ての事象を「○○番目のタイプ」とナンバリングしてるのが、コレクター魂を感じさせて笑える。
「全てのコレクションには法則がある。絵だから、壷だから、整理し、索引を作り、終わることがない……」
的な一文があるんだけど、魂に響きました(笑)
なんというか、お洒落さんなフランス映画って感じ(ってどんなだよ)
つまらなくないんだけど、あんまり好みのタイプじゃないかなぁ。
ただ、ラストは結構好き。
意思を持っている陶器というと、
水木しげる御大の短篇「古道具屋の怪」を思い出す。
これは、ある古道具屋の主人が、大掃除で奇妙な本を見つけるところから始まる。
その本は、何者かの一人称で語られていて、
数千年もの間、人間を食べるために、様々な美術品に化けてきた、という独白文だった。
そして……
こちらはかなり好きな作品。