大ニセモノ博覧会−贋造と模倣の文化史−



国立歴史民俗博物館で開催中の『大ニセモノ博覧会−贋造と模倣の文化史−』に行ってきた。


佐倉って聞き覚えあるなぁ、と思ったら、成田に行く時に標識で目にしてるのか。どおりで遠いわけだ。


それでも、ファン・メーヘレンとトム・キーティングの映画化を熱望し、『ギャラリーフェイク』を愛読してた者としては、行かずにおれない企画展。


贋作は極論すれば、人を騙して利益を得るために作るもの。
一番わかり易いのが、書画骨董の美術品の類。
何でも鑑定団』見てればわかるけど、ニセモノ掴まされた人を上から目線で笑うのは簡単だけど、正直、本物かどうか分かんないよね。
線が甘かったり、色味がおかしいとか言うけど、「そういう画風」「それが味」なんて言われたらそう見えちゃうもんなぁ。
結論としては、自分のわからないものは買わないこと。騙されちゃう人は「趣味」ではなく「価値」で選んじゃってるんだよね。


日本酒の偽ブランドや証文の偽造も利益のため。


個人的には、今回の展覧会で面白かったのは、その金銭とは無関係の贋作。


みんな大好き、ヴュルツブルクの嘘石とピルトダウン人ですよ!
展示されているのはニセモノのレプリカというよくわからない事態にw
ヴュルツブルクの嘘石はフィギュア作ってよ、と思ったら、地元ではキャラグッズになってるのね。行きたい……
ピルトダウン人はイギリスから出土したという事実は、長年信じられてきたことに無関係じゃないと思うんだよなぁ。


それから、あの一世風靡した「ゴッドハンド」の偽旧石器も展示。こちらはレプリカではなくホンモノ。
この事件は歴博も無関係ではない、というか当事者みたいなもんだもんなぁ。
石器だけじゃなく、まるまる一つの歴史を作り上げちゃったというのが凄い。
もし、あと何十年か偽造がバレなかったら、本当に歴史になってしまい、その頃にはもう検証不可能になってる……という妄想はイーリイ「タイムアウト」を思い出しちゃう。


で、今回の目玉(個人的)は人魚のミイラ!
現物、写真と妖怪ミイラは普通の人よりは多く見てきたつもりだけど(普通の人は見ないという意見は受け付けません)、これは初めてだなぁ、と思ったら、最近作られたものなのね。
何度か書いてるけど、妖怪ミイラはホンモノか偽物か、なんてどうでもよくて、その存在自体が面白いんだよ。真贋の鑑定は無粋。
人魚のミイラの作り方もパネル展示されてるので、夏休みの宿題にもオススメ(二ヶ月以上かかるけど)


せっかくなんで常設展示もざらっと見学(閉館迫ってたので)


ザラブ星人土偶


スペシウム光線土偶