Borgman



『ボーグマン』鑑賞


アベル」「ドレス」「楽しい我が家」などシュールでブラックな作風で知られるオランダの鬼才アレックス・ファン・バーメルダムが、裕福な家庭に侵入する謎の集団ボーグマンを描いた不条理サスペンス。森の中に潜んでいたボーグマンが、武装した男たちに追われて街に逃げ込んだ。高級住宅地で暮らす幸せな家庭に住み着いたボーグマンは、仲間を呼び寄せて住民たちをマインドコントロールしていく。2013年・第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。日本では同年の第26回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映され、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」で劇場公開。

幸せそうな家庭に入り込み、徐々に彼らの信用を得て乗っ取ってしまう……というと、個人的には『魔少年ビーティー』を思い出してしまうw
観客=傍観者、という構造を有効に使ったジャンルだと思う。自分かもしれない平凡な一家が、闖入者によって蝕まれていく様子を見るだけしかできないのは、けっこうじわじわと来る。


ただ、この映画はちょっと変わってて、ネタバレしちゃうけど、闖入者の正体も目的も全く不明なんだよね。


冒頭、地中に暮らす彼らが、正体を知った(と思しき)男たちに追われるシーンから始まる。
その時点で、彼らは何者なのか? と強烈なフックになってるんだけど、その後は新たな獲物の入り込んでいく様子が淡々と描かれていく。


途中、インプラントっぽいシーンがあり、尋常ならざる手で洗脳しているっぽいんだけど、彼らの正体がパラノーマルなものなのかは全く不明。
その正体不明さが余韻を残す。