受活

愉楽

愉楽

『愉楽』閻連科〈河出書房新社

うだるような夏の暑い日、大雪が降り始める。レーニンの遺体を買い取って記念館を建設するため、村では超絶技巧の見世物団が結成される。笑いと涙の魔術的リアリズム巨編。カフカ賞受賞。

『異形の愛』*1×『少林サッカー*2


貧乏な県が、レーニンのミイラを買い取って記念館を建てて、それで世界中から観光客を呼びこむことを計画する。
その資金源が、障害者や奇形ばかりが住む受活村の面々による超絶技巧のサーカス団!
彼らは、健常者よりも速く駆けるびっこ、羽毛の落ちる音を聞き分けるめくら、落ち葉の両面に刺繍する下半身不随などなどに技を持つ。
これ、面白そうじゃない!?
かなりわかりやすく、中国の共産主義および資本主義化を批判した小説なんだけど、それ以上に見世物が面白い。
技の名前が、断脚跳飛、聡耳聴音、独眼穿針、木刻飛刀、といちいちカッコイイんだよね。
見世物小屋小説としては、パチモン臭漂う第二チームできてからが好み。


また、注釈小説でもあって、やたらと長い注釈で村の歴史や村長の茅枝婆の人生が描かれる。


自主規制が始まって以来、数十年分の禁止用語が目に飛び込んでくるけど、この物語では「目が不自由」じゃダメなんだよね。
彼らの超絶技巧となんとも言えない泥臭さのコントラストは、いわゆる差別表現でないと味わいが出ないと思うんだよね。
また、彼らを見下すために使っているわけではないことは読めばわかる。