ZOO CITY
- 作者: ローレンビュークス,Lauren Beukes,和爾桃子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/06/21
- メディア: 文庫
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南アきっての大都市ヨハネスブルグの一角に、犯罪者の吹き溜まり、ヒルプロウ地区があった。別名ズー・シティー――動物連れの街。当時、全世界で魔法としか思えない現象が起こっていた。すべての凶悪犯罪者は一体の動物と共生関係を結ばされ、その代わりに超能力をひとつ使えるようになったのだ。紛失物発見の特殊能力を持つジンジは、失踪した少女の捜索を依頼されたが、その行く手にはどす黒い大都市の闇が待ち受けていた!
『都市と都市』*1、『言語都市』*2に続く、都市シリーズ第3弾!(ウソ)
区分するならファンタジーだと思うんだけど、なぜか、この作品には“ファンタジー”の冠がひどく不似合いで、青背で並べるのが落ち着く。
面白そうだったんだけど、いざ読み終えると、イマイチ残るものがない。
犯罪を犯すと動物に憑かれ、同時に超能力を身につけるという魅力的な設定が、あまり印象に残らないんだよね。物語の根幹であるワンアイデアがそんなだから、全体的にもがっしりと来るものがない。
わざわざ、ズーシティなんて街なのに、あんまり他の能力者が出てこないんだよね。ブノワの能力を使わないのももったいない。
別に全世界で起きている現象ではなく、アフリカ限定でも良かったんじゃないかなぁ。その方が、現代でありながら、呪術の信仰が現実となっているアフリカの姿に重なるし、より過密感が増した気がする。
街の猥雑さが感じられないのも、この題名の小説にしては致命的。
たぶん、作者の目的は、主人公を案内役にしてアフリカの問題や犯罪を紹介することだと思うんだけど、物語との噛み合わせが悪い。事件の真相もそこに繋がるんだけど、全体的なフックが弱いから、気づいたら最終ステージにいた感じ。