Before Dawn



『BEFORE DAWN ビフォア・ドーン』鑑賞

低予算の「コリン LOVE OF THE DEAD」で注目を集めたマーク・プライスが製作総指揮を務めるゾンビ映画。夫婦仲が上手くいっていないアレックスとメグは、関係を修復するため、子どもを預けて夫婦水入らずで田園風景の広がる田舎の別荘にやってくる。しかし、それでも2人の会話は弾まず、ただ静かな時間だけが過ぎていく。翌朝、1人でジョギングにでかけたメグが血まみれの男に噛まれ、アレックスは警察に通報しようとするが、電話が通じない。瀕死のメグを介抱するアレックスだったが、メグは突然うなり声をあげはじめ……。

最近の映画にしては珍しく、なかなかゾンビが登場しない。
しかし、明らかにうまく行っていない夫婦、車についた血、刺さりっぱなしの鍵、など不穏の種が最初から散りばめられており、緊張感が煽られる。


予算の関係もあるのだろうけど、舞台は田舎のコテージのみ。しかし、そんな所にすらゾンビが現れるということは、町はカオスな状態になってることが想像でき、多くを語らない演出も相まってしょぼさを感じさせず効果的。
また、本来ホラーにおいては希望の象徴である「光」は、この作品では逆光となり、外の様子が見えず、恐怖の対象となる。


ゾンビは、走るタイプ。題名からして『ドーン・オブ・ザ・デッド*1の前日譚ともとれる。非常に静かな山あいの風景に、突然、大声を上げながら血まみれのゾンビが走ってくる映像は、日常が一瞬で非日常に変わる様子を見事に描いていると思う。


なかなかの拾いものだったかな。