Life Without Principle



『奪命金』鑑賞

香港の鬼才ジョニー・トー監督が、世界経済危機を背景に、金への欲望から起こった事件に巻き込まれる人々の姿を描く金融サスペンス。妻からしつこく新しいマンションの購入を迫られていたチョン警部補は、仕事を理由にいつも話をそらしていたが、しびれを切らせた妻は夫に内緒で仮契約をしてしまう。銀行の金融商品営業担当のテレサは、成績をあげるため、客にリスクの高い投資信託商品を売りつける。気のいいヤクザのパンサーは、逮捕された兄貴分の保釈金を作るため、同郷の投資会社の社長ドラゴンに相談を持ちかける。そんな中、欧州債務危機で金融資産が下落する事態が発生し……。

投資、ダメ! 絶対!(性格的に)


傷害事件から始まり、そういう話なのかな? と思ったら、場面は銀行に移り、そこから延々と主人公の一人による業務の様子が始まる。
しかし、そこにはバブルやハイリスクハイターンの投資話といった、死亡フラグがいくつも立っていてスリリング。


物語は、ギリシアに始まる欧州債務危機を背景にした、金に振り回される人々を描く。
非常に演技がクサいんだけど、金という泥臭いものをテーマにしているから、こんくらいわざとらしい方が釣り合うのかなぁ。
時系列と視点を入れ替え、交互に語られていく作りなんだけど、ちょっとそこは野暮ったかったなぁ。もっとスタイリッシュにできそうなものだけど。
また、金貸しを襲う犯人とか、前もって顔見せしてほしかったなぁ、というキャラもちょろちょろ。


コミックリリーフでもある、主人公の一人、通称肩掛けカバンの株の予想表が酷いんだけど、所詮、投資なんて占いレベル、という製作者の声が聞こえてきそう。それにしても、彼は車の運転覚えた方が良くない?


ラストは、もっと、どぎつくても良かった気もするなぁ。
欲がない人が得をするというのは、ちょっと道徳的すぎるような。