The Artist

『アーティスト』鑑賞





今年のアカデミー賞で注目される点は、
アメリカ人が3Dで現代映画の祖、メリエスを描き、
フランス人がサイレントで、トーキー黎明のハリウッドを描いたこと。


サイレントはほぼ初体験。
思ってたほど字幕は出ないのね。その分、演技はオーバーになり、言葉はわからなくとも、ニュアンスは伝わるようにできている。これが、トーキーで人気者のなっていくペピーが言うところの、時代遅れの映画なんだけど、21世紀の今だと、その台詞の脳内補完が意外に楽しめる。


それもあるのか、ストーリーはわかりやすいチャーミングなロマンスもの。
舞台は狂乱の20年代
大恐慌はあらゆる面において強烈なパラダイムシフトを引き起こし、華やかな時代から一転サバイバルとなる。
それは映画も同様で、サイレントからトーキーへの変化で、消えていった役者も少なくない。
このことは今も常に繰り返されていることで、カラー、CG、3D……と続いていく。
しかし、この作品は別にそれを語るわけでも、懐古趣味や新技術を描いてるわけでもなく、普遍的な映画への夢と愛を描いてるんだよね。


実は、完全なサイレントではなく、一部トーキーになっている。
その音の使い方は巧みで、不安と希望を表していて、ラストシーンはすごい好きだなぁ。


人生はビギナーズ』の犬ちゃんもよかったけど、こちらには負けるか……。