MONEY BALL

『マネーボール』鑑賞
同名ノンフィクション*1の映画化。


まず、『メジャーリーグ*2みたいな作品を期待していくと、確実に肩透かし。


結論から言うと、全く野球に興味ないのが幸いしたのか、個人的にはなかなか楽しめた。
メジャーリーグをよく知っている人ならまた深く楽しめるかも知れないけど、日本にいないGMを主人公としているから、中途半端に、台詞のみで事情を読み取ろうとすると、集中できないかも。


野球シーンはほとんど出てこず、裏方でありながら、野球チーム構成の最重要人物、ゼネラルマネージャーが主人公。そして、彼が推し進める、それまでのメジャーリーグ界の常識に反するセイバーメトリクスという理論がもう一つの主人公。
ブラッド・ピット演じるビリー・ビーンは改革者らしい独善性とエキセントリックさ、システマティックな思考を持ち、また視点がプレイヤーにないため、他の野球映画のように感情移入しにくい。
感情面でも、理論面でも、観客との橋渡し役が、ビーンの補佐となるピーター・ブランド。しかし、彼もまた決して選手側の人間ではない。


この映画は、コンゲームものと言うと語弊があるけど、理詰めで畳み掛けるような交渉を楽しむ作品。前半の見所、旧弊なスカウトとの舌戦は非常に小気味いい。
選手をポーカーのカードのように扱っているため、通常の野球映画の様な視点をイメージするとかなり冷酷な印象を持っちゃうけど、終盤に出てくるトレードの電話は非常にエキサイティング。
定番の展開なら、20連勝で盛り上がっていくはずが、そこがこの映画では欠如している。しかし、どちらの戦いに焦点が合わせられているのか、言わずもがな。


統計だけで野球を組み立て、システマティックな思考しかしないと断言するビリー・ビーンだけど、その反面で、ジンクスを信じ、ピーターが見せるビデオ、フェードアウトしていく娘の歌に「フィールド・オブ・ドリームス」を残すラストがいい。