DESMORONAMIENTO
- 作者: オラシオ・カステジャーノスモヤ,Horacio Castellanos Moya,寺尾隆吉
- 出版社/メーカー: 現代企画室
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
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初版が1500部しか刷られていないということなので、勢いで購入。
娘がエル・サルバドル人と結婚することが許せないホンジュラス人の母。反対を無視して、エル・サルバドルに入ってしまう。しかし、両国間で戦争が始まり、連絡もままならない状態に……
地味な話だけど、リーダビリティはかなりいい。
三部構成。
娘の結婚式当日を描いた第一部は、三人称。
戦争の第二部は、書簡形式。
夫人の晩年を描いた第三部は、使用人視点。
結婚や戦争といった一大事の中、強烈な潜在感を持っているのが、母であるレナ夫人。自分の意のままにならない夫や娘をヒステリックに罵り、狂人のような行動を起こす。しかし、彼女は常に家族を守ろうとしているんだよね。しかも、彼女の狂った言動は結果的には正しく、それがラストの一言につながる。
面白いのは激動の第二部。手紙を通じて、サッカー戦争以降、エル・サルバドルの状況がどんどん悪化していくのがわかる。レナ夫人はこういうことも予見していたとも思えるんだよなぁ。そして内戦の理由がまた、サッカーに輪を掛けてくだらない。この不安定で、狂ったジョークのような世界で翻弄されないのは、ただ一人、狂った夫人だけ。
ホンジュラスとエル・サルバドルの関係、サッカー戦争について軽く頭に入れとくことをオススメ。
限定1500部って宣伝したら、売れるんじゃね?(笑)