TINSLEY'S BONES

検死審問ふたたび (創元推理文庫)

検死審問ふたたび (創元推理文庫)

『検死審問ふたたび』パーシヴァル・ワイルド〈創元推理文庫ワ-1-2〉
検死審問―インクエスト (創元推理文庫)の続編

リー・スローカム検死官が、ふたたび検死審問をおこなうことになった。今回の案件は、火事に巻きこまれて焼死したとおぼしき作家ティンズリー氏の一件。念願の陪審長に抜擢され、大いに張り切るうるさがたのイングリス氏は、活発に意見を述べ、審問記録に注釈を加え、さらには実地検分に出かける気合いの入れよう。はたして、いかなる評決が下るのか。

やはり、ワイルドは読んでいて楽しい。
今回の主人公とも言えるのがイングリス氏。この人のトンチンカンな推理と審問記録の註釈は、探偵術教えます (晶文社ミステリ)を彷彿とさせる。
事件と関係がなさそうな間の抜けた証言。日当のために、それらを延々と語らせる(ように見える)スローカム。しかし、そこには、単にユーモアだけでなく、事件の真相を明らかにするためのピースが隠されている。
ミステリとしてもフェアで、ニヤリとさせられるラストも相変わらず。