DAY WATCH

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デイ・ウォッチセルゲイ・ルキヤネンコ&ウラジミール・ワシリーエフ〈basilico〉読了
出ないかと諦めていた『[rakuten:book:11553348:title]』の続編。

ナイト・ウォッチとの小競り合いで、自分の力を出し切ってしまったデイ・ウォッチのアリサ。もう、普通の人間のように生きていくしかないと諦めていたが、その貢献から、魔力を取り戻すことが許される。子供たちから悪夢を吸うことによって徐々に復活させるため、クリミアの保養地に向かうが、そこで人間の青年と激しい恋に陥る……。
モスクワに謎の闇の魔術師が到着する。今まで存在を知られておらず、強力な魔力で、ナイト・ウォッチ数名を亡き者にするほど。一方、呪物ファフニールの爪が盗まれ、モスクワに運ばれようとしているという。関係があるのだろうか? そして、彼の正体は?
プラハで異端審問の裁判が行われるため、検察として向かうことになった闇の魔術師のエドガー。しかし、彼は自分がザヴロンに捨て駒として使われるのではないかと思い当たる……

題名からもわかるように、今回は闇の側〈デイ・ウォッチ〉が主人公。
前巻と同じように三つのエピソードからなっている。
このシリーズは光と闇の戦いというありふれたファンタジーのテーマなんだけど、結果がわかっているゲームのために、常に条約に縛られた駆け引きをしていくのが面白い。
魔力を使い果たしたからと言って、それを簡単に回復されることは許されず、光と闇のカードの交換の中で、やっと可能になる。しかも、失ったことも回復したことも、大いなる結果のためのピースに過ぎず、光と闇のボスは、そのために部下たちを駒として扱っている。
結果がわかっている割には、失敗したり落胆するので、全てが見えているわけではないらしく、その名が光と闇は優位に立とうといろいろと画策する。ただ、それさえもゲームの一部なのかもしれない。
あちこちに駒・カードを配置していくんだけど、これは『ナイト・ウォッチ』の方が有機的にエピソードがつながってた気がする。今回は、ちょっと滑らかさが足りないかな。特に第1章の恋愛モードはページを割きすぎじゃない?(笑)
物語的にはさほど展開はないんだけど、単なる影の世界だと思っていた薄闇の存在が少し明らかに。


完全に続編なんで、『ナイト・ウォッチ』を読んでないと面白くないです。映画『デイ・ウォッチ』は『ナイト・ウォッチ』の第2章を元にして作ってるから、この小説とはあまり関係ない模様。
3巻もちゃんと出してほしいな〜


ところで、小説も映画も、つくづくアメリカの文化しか知らないなぁ、と痛感。『チェブラーシカ』にも出てきたけど、ピオネールとか、ロシアの生活はさっぱりわかんないもんなぁ。