2007年1月号

S-Fマガジン 2007年 01月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2007年 01月号 [雑誌]

もう1月号か〜
今月のSFマガジンは、『スキャナー・ダークリー』の公開に合わせて『ドラッグSF特集』
表紙がかなりいい感じ。


翻訳作品は4本
「ライトと受難者」……ジョナサン・レセム
大学をドロップアウトし、麻薬中毒で売人の弟が組織の金を奪うのに協力するポール。
そのまま高飛びしようとするが、
受難者と呼ばれる豹のような姿をしたエイリアン的存在が現れ、彼らにつきまとう。
はたして、受難者の目的はなんなのか?
受難者は結局なんだかくわからないんだけど、
ラストで、彼らが現れる条件がわかる様が、けっこう気に入りました。
・「二人称現在形」……ダリル・グレゴリイ
ゼンというドラッグの過剰摂取で、自我が消滅した少女。
入院して2年、やっと普通に生活できるようになった。
しかし、自分を娘と呼ぶ二人の男女に親しみはなく、
また、以前の自分のことを聞かされても、「彼女」としか思えない
取り敢えず家に連れて行かれ、リハビリを開始するが……
初登場作家。
今月はこれが一番のあたりかな。
デリートされ、上書きすれば、それはそれで、新たな自分。
元の自分を取り戻す必要も、統合することもない。
・「デイドリーム・ネーション」……ボール・ディ・フィリポ
夢を作って、それを相手の頭に送受信できるiドリーム。
彼氏と別れたばかりのiドリーは、素晴らしい夢を作れる新たな相手を捜すが……
いかにも、ネット社会の現代風の物語。
微笑ましくて、けっこう好き。
・「熱力学第一法則」……ジェイムズ・パトリック・ケリー
初めて吸うドラッグをやりがら、体制への抗議落書きをするスペースたち。
そこでスペースはトリップし……
これは、どうも口に合いませんでした。


「大森望のSF観光局」大森望さんの新連載
SF短篇集ブーム。
普段、翻訳の善し悪しはほとんど気にせず読んじゃうんだけど、
「狙われた獲物」は状況がイマイチわからなかったんだよねぇ。そういうことか。


「家・街・人の科学技術」米田裕さんの新連載
初めて、ワンセグの意味を知りました(遅すぎ)


「デッド・フューチャーReMix」は、血液SFつづき。
輸血システムと血液銀行の完成。


「SF挿絵画家の系譜」は、石原豪人(後編)
石原豪人展に行けなかったのは、残念だった……


「サはサイエンスのサ」は遺伝子は死語になった?のつづき


「センス・オブ・リアリティ」は、地質区分
冥王星のように地質年代名も変るのか?


「SF BOOK SCENE」はSF・ファンタジー長篇
最近は、ヴィクトリア朝ものが流行ってるとか。
"The Meaning of Night"マイケル・コックス
"The Thirteenth Tale"ダイアン・セターフィールド
"Never the Bride"ポール・マーズ
が面白そう。


「MAGAZINE REVIEW」は〈アシモフ〉誌
"Eight Episode"ロバート・リード
"A Flight of Numbers Fantastique Strange"ベス・ベルノビッチ
"Impossible Dream"ティム・プラット
"The Marsh"マイクル・スワンウィック
が面白そうだった。


「近代日本奇想小説史」は『吾輩は猫である』の続き


世界SF情報は、ウィルスン・タッカー、ネルスン・ボンドの訃報
タッカーの『静かな太陽の年』は好きな作品です。