SHORT STORY COLLECTION

海を失った男 (晶文社ミステリ)

海を失った男 (晶文社ミステリ)

『海を失った男』シオドア・スタージョン晶文社)読了。


今年の夏に出た短編集。
スタージョンの短編集と言えば、『一角獣・多角獣』を筆頭に軒並み絶版。
値段もけっこう付いていて、『一角獣・多角獣』なんていまだに見たことないよ。
そんな中、ついに晶文社から新刊として本書が刊行。
さらに、河出、国書刊行会からも予定があるんだよね。
どうしたんだろ?


それはさておき、感想。
この短編集がたまたまそうだったのかどうかは知らないけど、
基本的なテーマはパートナーシップ。
でも、それ以上に強く感じたのは、独りは寂しい、という強い感情。
パートナーを失ってしまうことへの恐れ。
それを書き続けている感じがした。
スタージョンが何度も離婚しているというのと関係あるのかな?


収録作品で気に入ったのは、なぜか『そして私のおそれはつのる』。
SFじゃないんだよね。
中国の仙人的なばあさんが、不良少年の中に才能を見出して、
彼を自分と同じ道を歩ませようとするが……
と言う話。


ついでにアンソロジーから、『ゆるやかな彫刻』も読む。
高圧電流によるガンの治療、盆栽、男と女、という脈絡のないテーマの短篇。
なぜだか、魂が震えた。


今さら、
スタージョン、凄いよ。