寄生獣



『寄生獣』鑑賞


謎の寄生生物と共生することになった高校生・泉新一の数奇な運命を描いた岩明均の伝説的人気コミック「寄生獣」を、「永遠の0」の山崎貴監督が実写映画化した2部作の前編。ある日、人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を捕食する「パラサイト」と呼ばれる謎の寄生生物が出現。平凡な高校生活を送っていた泉新一も、一匹のパラサイトに襲われる。しかし、新一の脳を奪うことに失敗したパラサイトは、そのまま右腕に寄生し、自らを「ミギー」と名乗って新一と共生することに。当初は困惑した新一も、次第にミギーに対して友情に近い感情を抱くようになるが、やがてパラサイトと人間とが殺し合う事態が発生。新一とミギーもその争いに巻き込まれていく。主人公・新一役を染谷将太が務め、深津絵里橋本愛ほか豪華キャストが集結。脚本は、「ALWAYS 三丁目の夕日」や「探偵はBARにいる」など人気シリーズを手がける古沢良太

今年は、まだ、『ガッチャマン*1級がないなぁ……と嘆いていたところ、真打ちが残っていましたよ!


もはや、古典的名作と言える『寄生獣*2まさかの実写化! 
同時期に放映されているアニメ版が、下馬評に反する出来の良さで、ますます実写版に期待(?)が持てるというもの。


さて。


客観的に見て、漫画原作の、しかもSF系邦画としては、十二分に及第点じゃないかなぁ。
途中で飽きずに最後まで観ていられるし(ちなみに『ガッチャマン』は1分で飽きた)、CGや画面作りを含めて、チグハグさもあまり感じられない。
「原作と◯◯が違う」なんて意見はナンセンス。ホドロフスキー先生も原作レイプ推奨してたけどw、改変・脚色も悪くないんじゃないかなぁ。特に、2時間の間に学校襲撃を繰り返すワンパターンを避けるためのAの改変はいいと思う。
政府が早い段階からパラサイトを把握してるっぽい様子も個人的には◯。
最近の日本映画にしては、残酷描写もそれなりにちゃんとあるし。それだけに、死体で埋まった廊下のシーンは残念。血の海にしないのなら、死体も映さないで、いっそのこと足音だけにすればよかったのに。


斜に構えて、揶揄するような現代っ子の新一を演じる染谷将太を始め、非友人もいい。特に島田役の東出昌大の作りものっぽさははまり役。
一方、ミギーの阿部サダヲはアテレコ上手いけど、感情があって、ちゃんと意思疎通できそうな感じがどうも違和感。笑い声出しちゃダメでしょ。変にキャラクター化しようとしているのが嫌だなぁ。


全体的にはいいと思うんだけど、ただ、原作のことはひとまず置いておいて、映画だけで判断しても、よくわからない場面が散見される。
基本的な展開は漫画と一緒なんでネタバレもないと思うけど、パラサイトに乗っ取られた母親が家に帰ってくる理由が映画では全くわからないんだよね。
ロケも面倒だし、母子家庭に改変した歪で、とにかく、パラサイト母の行動に一貫性が取れていない。頭食っちゃえよ。


それから、指紋残っちゃうじゃん、という危惧はちゃんと回収されるんだけど、なんで警察は新一に目をつけるの? 万引きでもして指紋取られてるとか?w


田宮良子の爆弾も意味不明だなぁ。


あと、後藤さん、イヤリングはちゃんと処理しようよ。Twitterにあげたら、炎上モノw


と、ここまで書いてなんだけど、原作ヲタなんで、やっぱ比べちゃうw


実は「あれが違う、これが違う」っていうのはあまりなくて、「ああして欲しかった」というのがちょいちょい。
「広川の街宣車に5匹(6匹だっけ?)パラサイトがいる」てセリフは欲しかったなぁ。それが物語後半のミスリードになってるわけだし。
尺の関係で仕方ないけど、カナちゃんオミットはいいとして、不良との喧嘩は入れて欲しかった。普通の人間とやりあって人外感が出ると思うんだよね。


「人間の数が〜」は田宮良子じゃなくて、広川に言わせた負がよくない?


繰り返しになっちゃうけど、やはり母親の描写は気になる。
特にラストのアレはちょっと受け入れがたい。原作とは真逆の解釈で、そのラインで、田宮良子の出産を含めて、そこに着地するつもりなのかなぁ。そうだとしたら、激しい悪寒がw


あと、弓はねぇよ。
一撃で心臓を破壊することが肝要で、かつ真・新一の凄さがあの石ころで表されているんだけどなぁ。弓道部の見学してたけれども。


犬の死体がぬいぐるみにしか見えない件は不問でw


まぁ、完結篇は楽しみにできるレベルですよ。