A nagy fuzet



『悪童日記』鑑賞


第2次世界大戦下、小さな町へ疎開した双子の兄弟が、時に残酷な手段をもってしても生き抜いていく姿を描き、世界に衝撃を与えたアゴタ・クリストフの同名ベストセラーを、クリストフの母国ハンガリーで映画化。第2次世界大戦末期。双子の兄弟が、祖母が暮らす農園へ疎開してくる。彼らは村人たちから魔女と呼ばれる意地悪な祖母に重労働を強いられながらも、あらゆる方法で肉体的・精神的鍛錬を積み重ねる。大人たちの残虐性を目の当たりにした2人は、独自の信念に従って過酷な毎日をたくましく生きぬいていくが……。これがデビュー作となるアンドラーシュ&ラースロー・ジェーマントが主人公の双子を鮮烈に演じ、「タクシデルミア ある剥製師の遺言」のピロシュカ・モルナール、「ある愛の風景」のウルリッヒ・トムセンらベテラン勢が脇を固めた。

アゴタ・クリストフの同名小説*1の映画化。
相変わらず原作は未読。


疎開してきたばかりの頃は、おとなしい男の子ちゃんだった双子が、戦争という異常事態の中で、自ら作ったルールに従って肉体的にも精神的にも強靭になり、その見た目も荒々しくなっていくさまが見事。
意地悪な彼らの祖母も、最初は暴君だけど、双子の変化とともに、その目に怯えに似たものが宿っていくのもわかり、それが彼らの超人化を上手く補強している。


双子のルールでは、自分たちに親切にしてくれるなら、ナチもユダヤも同列なんだよね。
それ故、彼らのルールでは「敵」に対する攻撃は容赦無い。しかし、それは全てが残酷な時代の鏡像でもある。


はたして、ラストで二人が向かう先は?