Antiquities

あの夏、アメリカの田舎町で開催された〈シェイクスピア・フェスティバル〉でぼくたちは出会った。円形劇場と図書館で彼女と過ごした永遠の夏の日々、そこに思いがけない事態が訪れる……ノスタルジックな珠玉中篇「シェイクスピアのヒロインの少女時代」のほか、ヴィクトリア朝旅行記のパロディの表題作、詩情あふれるSFの傑作「雪」、怪鳥と男の奇妙な道行きを描くファンタジー「異族婚」、バイロン卿と牧神パンの哀切に満ちた出会いを綴る「メソロンギ1824年」など、本邦初訳7篇を含むヴァラエティにとんだ全12篇を収録(日本オリジナル編集)。『エンジン・サマー』『リトル、ビッグ』などSF、ファンタジー幻想文学といったジャンルを超えて活躍するジョン・クロウリーの華麗な語りが堪能できる傑作選!


・「古代の遺物」
・「彼女が死者に贈るもの」
・「訪ねてきた理由」
・「みどりの子」
・「雪」
・「メソロンギ一八二四年」
・「異族婚」
・「道に迷って、棄てられて」
・「消えた」
・「一人の母がすわって歌う」
・「客体と主体の戦争」
・「シェイクスピアのヒロインたちの少女時代」

ナイチンゲールは夜に歌う』*1ぶりの短篇集。ホント久々だな。
読んだのがかなり前だからうろ覚えだけど、『ナイチンゲール〜』はもっとSF(ファンタジー)っぽい話が多かったような……


ただ、幻想的なガジェットが出てきながら普通小説の味わいが、その逆もあるのがクロウリーの語りの特徴。
無理矢理まとめるなら、記憶に関する物語が多い。それも、信用出来ない語り手的なものではなく、特に「みどりの子」や「雪」における、忘却がネガティブなものではなく、前に進むために必要なもの、というのが印象深い。ただ、それが正しいのかどうかは本人にしかわからない。


お気に入りは、「彼女が死者に贈るもの」「雪」「異族婚」「消えた」「シェイクスピアのヒロインたちの少女時代」あたり。
シェイクスピアの〜」は中篇で、完全にボーイ・ミーツ・ガールものとして堪能させていただきましたw これもまた、失われていくものをテーマにしている。
「異族婚」はエロくない? 人として終わってますかそうですか。でも、SF者としては始まりw


で、『エヂプト』は?