The Gone-Away World

世界が終わってしまったあとの世界で(上) (ハヤカワ文庫NV)

世界が終わってしまったあとの世界で(上) (ハヤカワ文庫NV)

世界が終わってしまったあとの世界で(下) (ハヤカワ文庫NV)

世界が終わってしまったあとの世界で(下) (ハヤカワ文庫NV)

終戦争後の世界。幼いころから苦楽をともにしたぼくと親友ゴンゾーは、一種のトラブルシューターとして活動している。ある日、戦後世界の秩序を維持している装置〈ジョーグマンド・パイプ〉の大火災を消し止めるよう依頼されたぼくらは、大量破壊兵器によってもたらされた混沌のなかへと乗り込んでいくが、行く手には奇怪な陰謀が待ち受けていた――。大型新人による波瀾万丈の近未来青春アクション・サスペンス登場!
世界を守る〈ジョーグマンド・パイプ〉の消火に出動したぼくと幼馴染で親友のゴンゾー。しかし、その任務は予想よりもはるかに深い闇を秘めていた。ゴンゾーと別れてひとりでさまよう羽目になったぼくは、故郷での人生をふりかえり、すべての黒幕に立ち向かうことになるが……。圧倒的な筆力で怒涛のごとく語られる、最終戦争後の世界における闘いと友情と恋。笑いとアクションに満ちて世界を驚嘆させた怪物的デビュー作

『カンパニー・マン』*1、『パインズ』*2と最近は、青背よりも白背の方が好みの作品が多い気がするなぁ。


かなりヘンテコな作品。


新型兵器によって崩壊した、最終戦争後の世界。そこには観念やイメージが実体化した怪物たちが跋扈していた。
ぼくと親友ゴンゾーはなんでも屋の一員として暮らしていた。ある日、怪物たちを撃退している〈ジョーグマンド・パイプ〉の消火に向かうが、そこで二人の運命は激変することに……


最初はなかなか世界観がつかめなかったんだけど、慣れれば、「ぼく」の飄々として、危機感のない語り口は癖になる。
特に、回想に出てくる拳法修行や学生運動は嘘かホントかわからず、かなり面白い。
この語り口と、虚実に見分けがつかないエピソード、舞台設定が実は不可分で、物語を一体化しているところが非常に巧み。
読者はゴンゾーの勇ましい姿と、彼の影に隠れがちだけど、知性はキレるのんびりものの「ぼく」の姿が見えているはず。それすらも物語に組み込まれている。


青春モノで、ポストアポカリプスで、でもその実態は中国拳法の流派争い、とか並べると、改めて変な作品。
キル・ビル*3好きには是非オススメ。


実は作者はル・カレの息子。