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パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)

パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)

川沿いの芝生で目覚めた男は所持品の大半を失い、自分の名さえ思い出せない。しかも全身がやけに痛む。事故にでも遭ったのか……。やがて病院で記憶を回復し、みずからが捜査官だと思い出した男は、町の保安官や住民に助けを求めた。だが、この美しい町パインズはどこか狂っていた。住民は男が町から出ようとするのを執拗に阻み続け、外部との連絡にも必ず邪魔が入る――絶対予測不能の衝撃のラスト! 大型映像化決定

シャマラン映像化! という惹句に、逆に引いてしまうんだけど(最近の作品を観ると……)、とりあえず着手。


記憶をなくした状態で目覚めた主人公。
平和そうな田舎町だが、どうも様子がおかしい。
町から出ようと試みるがうまくいかず、外部との連絡もつかない。
いったい、何が起きているのだろうか?


作者あとがきによると、『ツインピークス*1にたいそう衝撃を受け、それを目指して執筆したのが本書とのこと。
ツインピークス』というよりは、『プリズナーNo.6*2と『LOST』*3をミックスしたような感触だけど。
また、内容同様に意識しているのか、読書感もTVドラマ的で異常にリーダビリティがいい。
ただ、飛ぶようにリーダビリティが良すぎて、作者が目指した『ツインピークス』にあったような不気味さや気だるさも吹き飛んじゃってるのは、マイナスのような気も。


なぜ記憶がない? なぜ外部と連絡が取れない? なぜ所持品がなくなっている? 草むらのスピーカーは? 同僚に似た老婦人は何者? 主人公と残された妻子とのギャップは? と、次々に謎が提供され、それ自体が推進力となってラストまで引っ張っていく。
ラストそのものがレゾンデートルな作品なのでネタバレ厳禁。それがなければ、他に魅力は少ない。丸太おばさんとか、チェリーパイとか、踊る男とか、とか……
まぁ、読んでる最中は、今までに仕入れてきた作品のパターンとマッチングしながらで楽しくはあるけどw


このオチなら、作中にギョッとするような謎をもっと忍ばせて欲しかったような……


物語はこれで完結しているけど、三部作予定だとか。


以下ネタバレ(?)
白背で出して正解。