DIPLOMATIC IMMUNITY

コマールで出会い、波乱の末にようやく結ばれたマイルズとエカテリン。幸せいっぱいの二人は結婚一年の記念日を前に、銀河宇宙へ遅い新婚旅行に出かけていた。ところが、そこへ故国からの急使が入る。グラフ・ステーションに停泊していたコマール船籍の通商船団から、護衛を務めるバラヤー艦隊の士官が消えた。脱走か、誘拐か、殺害されたのか? 情報は錯綜し、通商船団は出発できないでいる。皇帝直属の聴聞卿としてその件を調べ、解決して欲しいという、皇帝じきじきの要請だった。妻をともない、調査に向かうマイルズだったが……。大人気シリーズ。

一時期、刊行が止まっていて、また創元の悪い病気が……と諦めかけていたんだけど、どういうわけか、最近は翻訳が続いていて嬉しい限り。
ちなみに、原著もまだ2冊残っているので期待しましょ。


『ミラー衛星衝突』*1聴聞卿編の始まりであると同時に、マイルズとエカテリンの物語の始まりでもあった。
出会い、プロポーズ、結婚、新婚旅行、と段階を追っていて、親戚のおばちゃんのように嫁を品定めw 初登場時は印象が薄かった彼女だけど、回を追うごとに存在感を増し、今回はとうとう、知力、度胸、理解(マイルズの奇行に対する)と三拍子揃った、紛うかたなきマイルズの伴侶。


結婚から一年、第一子の誕生(人工子宮)も間近、新婚旅行の帰りに、グラフ・ステーションで行方不明になった士官の調査を命じられたマイルズ。
単なる失踪事件かと思いきや、次から次へと事件と容疑者が増え、マイルズの命も狙われ、果てはコマール本国に戦火が……


基本、ステーション内の聞き取りという地味な展開ながら、シリーズ最大級の危機を迎えるまで、ストーリーテリングの上手さで一気に読ませる。
秘密部隊の隊長という地位は奪われ、探偵のような仕事になってしまったものの、彼でしか事態を解決できないお手並みは鮮やか。
また、脳が高速クロックで動くために、肉体が停止してしまう様子をエカテリンが実況してくれるのもおかしいw


『任務外作戦』*2がオールスターキャストだったのに対して、こちらは懐かしの面々が登場。
舞台はクァディーたちのステーションで、今回のパートナーはベル・ソーン。また、セタガンダも話に関わってくる。
シリーズ読者へのサービスにも見えるんだけど、懐かしのキャラクターたちが物語の鍵を握っているのだから、マイルズでなければ事態を収拾できないのは必然で、その両者のすり合わせも上手い。


それにしても、マイルズも父親か〜