La vie d'Adele



『アデル、ブルーは熱い色』鑑賞


2013年・第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。フランスの人気コミックを原作に、「身をかわして」「クスクス粒の秘密」などで注目を集めたフランスの新たな才能アブデラティフ・ケシシュ監督が、青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆な性愛描写とともに描いた。文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき……。カンヌ映画祭では、審査員長を務めたスティーブン・スピルバーグの計らいによって、ケシシュ監督とともに、エマ役のレア・セドゥーとアデル役のアデル・エグザルコプロスに対してもパルムドールが授与され、カンヌ史上初めて俳優がパルムドールを手にした。

『ブルーは熱い色』*1の映画化。
映画に合わせての邦訳版刊行なんだから、なんで題名を一緒にしないのかと思ったら、クレモンティーヌの名前を、映画版では意図的に女優の名前(アデル・エグザルコプロス)と同じに改変していたのね。


以下、原作も映画版もネタバレ注意。


原作では、エマがクレムの日記を読むシークエンスから始まり、これによって、クレムがどうなっているのかがわかるんだけど、映画ではそれはなく、クレムの視点で時系列に物語が進んでいく。
だから、最後は死んで終わりだろうなぁ、と思って観ていたら、途中から物語は原作と大きく変わって進んでいく。


原作が学生時代だけなのに対して、映画は卒業し、クレムは先生に、エマはアーティストとして成功していく。
原作は同棲を始めてからラストまでが短いんだけど、こちらは長く、原作とは違う在り得たかもしれない二人の人生が描かれていて、すれ違っていく二人の気持ちがクローズアップされる。


エマの両親がちゃんと描かれるのも大きく違うけど、その分、ヴァランタンの登場が少ないのが残念。また、クレムの両親が「レズビアンの同棲」というものに激しく拒絶反応を示すのに、映画ではそれがないのがちょっと気になった。
まぁ、あくまで二人の物語だから、彼女たちが興味をなくしたり、忘れたものは描かれていないのかもしれないけど。


惹句になってる長いラブシーンはエロいというより、レズでも向こうはスパンキングするのね、というどうでもいい感想がまずw あと、相変わらずR指定入ってるんだから、ボカシはなぁ……


原作は、二人のヨリが戻る可能性もあったかもしれないけど、映画版はまずありえない。
クレムが愛を求めるのに対して、エマはミューズを求めているんだよね。だから、クレムからインスピレーションがわかなくなれば、それに比例して愛も薄れてしまう。
でも、映画の原題が「アデルの人生」であるように、これからも彼女の人生はまだまだ続き、作中はその短い一章にすぎない。
ラストは、新たな出会いがあることを示唆している、と思いたいなぁ。