愛の渦



『愛の渦』鑑賞


2006年・第50回岸田國士戯曲賞を受賞した、演劇ユニット「ポツドール」の同名舞台劇を映画化。ポツドール主宰の劇作家・三浦大輔が自ら映画用に脚本を書き下ろし、メガホンもとった。フリーター、女子大生、サラリーマン、OL、保育士など、ごく普通の人々が六本木のマンションの一室に集まり、毎夜繰り広げる乱交パーティに明け暮れる姿を通して、性欲やそれに伴う感情に振り回される人間の本質やせつなさを描き出していく。主人公のニートの青年を「半分の月がのぼる空「砂時計」池松壮亮が演じ、ヒロインとなる女子大生を東京ガスチョコラBBのCMで注目を集める新進女優の門脇麦が演じる。そのほかの共演に新井浩文滝藤賢一田中哲司窪塚洋介ら。

同名舞台を映画化。
そんなわけで、『十二人の優しい日本人』*1と感触が似てる。


見知らぬ者同士の乱交パーティの裏風俗という特殊な舞台なんだけど、普遍的なコミュニケーションを描いている。


人付き合いが苦手なものにとって、あの初対面同士の上滑りした空々しい会話がもうイヤw 
オタク同士なら、前置きなしで、趣味の話をいきなり突っ込んでも大丈夫なのにさ。彼らだって、セックスしたいだけで集まってるんだからとっとと始めちゃえばいいのに、まずは牽制しあう。
訳知りの常連も、正論故にムカつく強面も、とにかくイヤ。


服を着ているときはどういう集団なのかわからないけど、裸になってしまえば皆同じ。しかし、目的も同じはずなのに、そこにはやはり駆け引きや反目が生まれる。人間がふたり以上集まれば、自動的に人間関係ができるのは当然。
裸だからこそ、それがむき出しになり、服を着れば再び社会性が戻ってくる。


また、男はしょうがないなぁ、という物語でもある。
親の仕送りを使っちゃう、幻想を見ちゃうニートカップル参加で彼女を試す、しょうがないと思いつつ、男としては彼らを理解できちゃうのが悲しいw


出演者では、女子大生役の門脇麦がとにかく印象的。
可愛いんだかブサイクなんだかわからない顔なんだよね。チラシで見た時はフェミニンな男の子かと思ってましたよ。
その彼女が、だんだん女らしくなっていく不思議。