V/H/S/2



『V/H/S ネクストレベル』鑑賞

新進気鋭のクリエイターが集結し、ファウンドフッテージ形式で描かれたホラーオムニバス「V/H/S シンドローム」(2012)のシリーズ第2作。失踪した青年の捜索依頼を受けた私立探偵の男と助手の女は、調査のため青年が滞在していたという古い一軒家にやってくる。そこには大量のビデオテープと血痕が残されており、助手の女は手がかりを求めてビデオテープを再生する。しかし、そこに収められた映像は想像を絶する恐ろしいものだった。女はとり憑かれたように次々とテープを再生していくが……。参加監督は「サプライズ」のアダム・ウィンガード、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のエドゥアルド・サンチェス、「ホーボー・ウィズ・ショットガン」のジェイソン・アイズナー、「ザ・レイド」のギャレス・エバンスら。

『V/H/S シンドローム*1に続く、POV(ファウンド・フッテージ)ホラー・オムニバス第二弾。
前作がイマイチだったんでどうかなぁ、と思ったんだけど、質は確実に上がってる。


POVというジャンル自体、不自然の塊みたいなもんだけど、それを少しでも減じようと、アイデアを練っているのがわかり、製作者への好感度アップ。
不自然の一つがカメラを決して手放さない、であるんだけど、「PHASE I CLINICAL TRIALS」は義眼、「A RIDE IN THE PARK」はカメラを装着したヘルメット、「SLUMBER PARTY ALIEN ABDUCTION」は飼い犬に取り付けたカメラ、とカメラが回り続ける必然性が高められている。
まぁ、「PHASE I CLINICAL TRIALS」は最新義眼に幽霊が写っちゃう話なんだけど、幽霊は脳で見てるのか、カメラで見ているのか、という問題が新たに持ち上がるけど。


一方、「SAFE HEVEN」と、各話をつなぐ「TAPE 49」はその「なんでその状況を撮り続けてるの?」という不自然さが半端ない。
ただし、これを逆転させる方法がある。それは、単純に、映ってるものが物語として面白ければそれでよし。
これはジャンルが抱える他の問題にもつながっている。POV(ファウンド・フッテージ)は映っている事件は現実で、それを編集したものを我らが観ている、というちょっとメタな構造のジャンルで、誰かがそのフィルム(データ)を見つけていなければならない。
そうなると、面白い映像が写ってるような状況で、誰がそれを回収したの? という疑問が持ち上がるんだけど、でも、フィクションとしてはやっぱリアリティよりも面白さの方が上。好例が『トロール・ハンター*2


そんなわけで、「SAFE HEVEN」はこのオムニバスの中でも一番のお気に入り。
ファウンド・フッテージとしては完全に失敗で、あまりにも凄いことが起きすぎて、これこそ、誰がファウンドしたの? という作品。
あらすじは、人民寺院(みたいなカルト)に取材に行ったら、その日が彼らにとっての終末当日で、結果魔界と繋がっちゃいました、という感じ。
このあちら側の描写がすこぶる面白く、『サイレントヒル』ワールドの一篇と紹介してもいいくらいテイストにあふれている。げんにサイレン鳴り響くし。
でも、魔界からどうやって画像を回収したの?