MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN

ハヤブサの守る家』ランサム・リグズ〈東京創元社

ハヤブサが守る家 (海外文学セレクション)

ハヤブサが守る家 (海外文学セレクション)

最高に魅力的な人物だった祖父。幼いころぼくは、祖父が話してくれた荒唐無稽な話にわくわくして聞き入ったものだ。だが、その祖父が何ものかの手にかかり凄惨な死をとげた。いまわのきわに「島に行け。鳥を捜せ。彼らになにがあったか伝えてくれ」ということばを残して。そして、祖父の死の現場で、ぼくは恐ろしい怪物を見た。ショックのあまり悪夢に襲われるようになったぼくは、医師の勧めもあり、祖父の遺言を果たすべく祖父がかつていたウェールズの小さな島に行くことにした。だが、そこで見つけたのは、広大な廃嘘となった首い屋敷だった……。アメリカで百四十万部突破、ニューヨークタイムズ・ベストセラーリスト五十二週連続ランクイン、世界三十五カ国で翻訳された、清新な感性で描く、奇妙な奇妙な物語。

「ジャック・フィニィ」ミーツ「ティム・バートン」ミーツ「X-MEN


言ったように、初めの感触はバートンの『ビッグ・フィッシュ*1にかなり近い。
その後の展開は、なんか見覚えあるんだけどなんだったかなぁ……とにかくYA的伝奇アクションという感じかな。
リーダビリティもよく、なかなか楽しめたけど、続篇がありそうなラストが色んな意味で気になる。
ムー的事案に彼らが関わっていたというくすぐりはもうちょい欲しかった。


ただ、この小説の魅力は物語の展開ではなく、物語が構成されていった経緯。
作中に何枚も挿入されている様々な古写真。これらの写真は小説のために撮影されたものではなく、作者の趣味である古写真コレクションからピックアップし、そこに後から物語を作っていったそうな。
普通のピンナップもあれば、シチュエーション不明の奇妙な写真あり、よくもまぁ見つけてきたなぁ、と感心。
しかし、それらから紡ぎだされた物語に不自然さはなく、むしろファンタジーなのに、『秘密の動物誌』*2のように写真があるだけで妙なリアリティを感じてしまう。
また同時に、明らかに時代がかった写真を見ているだけでノスタルジーを感じさせることにも成功している。
ちゃんと物語はあるんだけど、『アビントン・フリス村事件簿』*3や『不思議な文通』*4のような絵解きのような感触を得られる一冊。