Trance



『トランス』鑑賞

スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル監督が、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のジェームズ・マカボイを主演に迎え、記憶を失った男の潜在意識から消えた絵画を探しだす様子を、スタイリッシュな映像と音楽で彩り描くサスペンス。競売人(オークショナー)のサイモンは、ギャングと結託してオークション会場からゴヤの名画「魔女たちの飛翔」を盗み出すが、計画とは違う行動をとったためギャングのリーダーに殴られ、その衝撃で記憶が消えてしまう。ギャングのリーダーは催眠療法(トランス)を使い、サイモンが隠した絵画の場所を探ろうとするが、サイモンの記憶にはいくつもの異なるストーリーが存在し、探れば探るほど危険な領域に引きずり込まれていく。共演にバンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン。脚本には、「シャロウ・グレイブ」や「トレインスポッティング」といったボイル監督の初期作品も執筆したジョン・ホッジが参加している。

ゴヤのせいで、つるぺたは異端視されるようになった、という話(ぺたじゃねえし)


まぁ、面白いし、妄想・キチガイネタは好きだけど、ここまでの催眠術になっちゃうと、もはや魔法レベル。
ただ、それを何でもありで白けさせず、『ユージュアル・サスペクツ*1や『メメント*2のように、「あのときのあれはこういうことだったのか」という仕掛けのための映像であり、それと有機的に結びついた物語は上手い。
鑑賞後に、深読み合うのも楽しい。オススメ。


以下激しくネタバレなので要注意


一度しか観てないんで、細かい検証はできてないんだけど、


サイモン=フランクってことでOK?


どちらが本当の顔で、ペルソナなのかは判断の別れるところ。
二人の行動は同じなんだよね。エリザベスをストーキングし、肉体関係を結ぶ。ギャンブル好き。
ただ、魔法レベルの催眠術のため、どれが現実で、どれが精神世界なのかも見極めが難しい。少なくとも、サイモン=フランク、エリザベス、絵の盗難、は現実に存在していると考えないと、レイヤーを完全に見失う。
ギャング仲間はの実在はわからないけど、殺したのは精神世界での出来事だと思うんだよね。「相手より強いことで云々」的なエリザベスのセリフが何度かあるし。
あと、エリザベスは妊娠してる? 始めの頃に意味もなく吐いてるシーンがあるし、ラストで「私たち」の生活と言ってるし。


絵そのものは初めからエリザベスのもとにあって、あとは、フランクのストーカー気質を消すための催眠療法中の脳内ストーリー。
フランクのストーカーとしてのペルソナであるサイモンを殺したことによって、それは治療完了。だから、最後の彼は妙にさっぱりした顔つき。
そして、前半に出てくる印象的な小包がラストに届くので、それにて催眠状態は解かれる。


まぁ、色々と解釈したくなる作品ですよ。