THE INVITAION TO CTHULHU MYTHOS 2

超能力美女らを従えて南極探検に挑んだ男が人知を超えた存在と遭遇する、コリン・ウィルソンの小長篇「古きものたちの基」。漁村で起きているおぞましい事件の真相をブライアン・ラムレイが語る、ショッキングな中篇「けがれ」。さらに、ラムジー・キャンベルが呪われた町ゴーツウッドで発生する奇怪な出来事の数々をつづる「ムーン・レンズ」「湖畔の住人」と、英国の巨匠三人による恐怖と戦慄があふれている、日本初紹介のクトゥルフ神話ばかりを集めた、傑作選第二弾登場!

まさか、クトゥルーが萌化し、21世紀にサブジャンルではなく、一大キャパを持つジャンルとして浮上するとは思ってませんでしたよ。
そのおかげ(?)で刊行された日本オリジナルクトゥルフ神話アンソロジー第二弾。


感想が前後しちゃうけど、巻末の森瀬繚氏のエッセイが面白い。源流たるラヴクラフトから、80年代のTRPGブームを経由し、その後のAVG、さらに現在のラノべのブームまでが概説としてコンパクトにまとまっている。
クトゥルフ・ガイドブック』(())で知識が止まっているので大変ありがたい。ちなみに、クトゥルフ神話よりも20年代アメリカ風俗史のほうが、個人的には興味を持ったんだけど(笑)


・「ムーン・レンズ」……ラムジー・キャンベル
辺鄙な村に閉じ込められた男。
彼が遭遇した恐怖とは?
村の邪神信仰までがちょっと拙速に感じちゃう短い作品だけど、けっこう好き。
ヌメヌメ、触手ですよ! 触手!


・「湖畔の住人」……ラムジー・キャンベル
湖畔の不気味な家を借りた画家。
人が近寄りたがらないその湖には、忌まわしい秘密があり……
「おっと外から物音が…」ネタが! これって何か原型があるのかしら? それとも漠然としたホラーなイメージ?


・「古きものたちの墓」……コリン・ウィルソン
氷の下の都市を発掘するため、超能力少女や天才学者とともに南極に赴く青年。
彼がそこで見たものは?
コリン・ウィルソンの小説って、もしかしたら初体験かも?
これって、わざとパルプ風に安っぽく書いてるんだよね? 作中にラヴクラフトは真実をパルプフィクションとして描いた、的な描写があるし。
普段からこういう文章なら、ウィルソンの小説は合わないな…


・「けがれ」……ブライアン・ラムレ
海辺に暮らし母子。
父は自殺しており、同じ町に腹違いの息子が暮らしていた。
彼は人間離れした、両生類のような容貌で……
上手いなぁ、と思ったのは、このアンソロジーで唯一といっていいほど、ちゃんとした食事シーンが、それも何度も出てくること。
察しの通りインスマスネタなんだけど、合間合間に海鮮料理の描写が出てくるんだよね。何でもない描写なのに、ホラー的展開に挟まれて提供されると、それがなんともグロテスク。