2012年10月号
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/25
- メディア: 雑誌
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雑誌内雑誌『Yamaguchi Masaya’s Mystery Magazine』
未だ、今年の「幻想と怪奇」*1への憤りが収まりませんが、今月はそれを補って余りある特集!
異色短編特集と言っても過言でない。
ほとんど再録なんだけど、傑作ばかりなんだからしょうがない。
・「目撃」……スティーヴン・バー
旅行中、何かを目撃して、姿を消した夫。
それから20年。妻は彼を見つけ、会いに行く。
果たして、彼は何を見たのか?
異色短編、としか言いようのない、変で、不安を感じる話。
・「白柱荘の殺人」……G・K・チェスタートン
名探偵ハイド博士の代わりに、事件解決に向かった助手二人。
些細な証拠や言葉から、推理を働かせていくが……
ホームズ的推理をディスりながら、しっかりと論理的な推理と一発ネタを仕込む名人芸。お見事。
・「1ドル98セント」……アーサー・ポージス
1.98インチの神様を助けた青年。
願いを叶えてくれるというが、1ドル98セント分の願いだという……
山口氏同様、この短編好きなんだよねぇ。
『八一三号車室にて』*2に入ってないのが納得行かない。
・「町みなが眠ったなかで」……レイ・ブラッドベリ
連続殺人鬼が現れている小さな町。
映画に行く途中で、新たな犠牲者を見つけてしまう二人の女性。
それでも、気を紛らすために遊びに出るが……
言語のリズムの少しでも近づけるように訳したというだけあって、女性の高まる心拍が感じられるよう。
これも単行本未収録。
・「では、ここで懐かしい原型を……」……ロバート・シェクリイ
逃亡者、スパイ、密室殺人の三つのパロディ・ショートショート。
三つとも面白い。三本目の密室殺人はSF?
・「殺人生中継」……ピエール・シニアック
初訳。
評論家が、現場に赴いて殺人の様子を評論する世界。
こき下ろされてるヘボ殺人鬼が、彼らを感心させるような事件を起こそうとするが……
狂った世界の狂った評論家たち。
一番まともなのは、殺人鬼たち。
『ウサギ料理は殺しの味』*3が読みたくなったなぁ。
・「退化した人たち」……チャールズ・アダムス
ブラックな一コマ漫画。
『アダムス・ファミリー全集』*4に収められていない作品だけなので、海外コミックファンはそれだけでも今号は買い。
パロディなのか、本気なのかわからない次号予告も、超期待!
是非、実現して欲しいなぁ。