ネタバレ的雑感

おおかみこどもの雨と雪』の感想で、花がスーパーウーマンすぎる、という意見が散見されるけど、それは当たり前のこと。


この物語は、一種の「信用出来ない語り手」ものなんだよね。全て花からの伝聞と雪の幼い記憶から拾われた物語だから、シングルマザーの辛さは語られないし、父の人間像も描写は薄い。
一方で、積雪の中の疾走、雨との喧嘩、草平を傷つけたこと、などは自分で経験したことだから、躍動感や緊張感、情感たっぷりに描かれる。
また、雨は男で、弟で、オオカミ、と13歳の彼女にとっては全く別の生き物だから、彼の心の動きはよくわからず、山を選んでしまう過程も理解できない。雪がもっと成長すれば分かる日が来るのかもしれないけど、それはまだ先のお話。


そもそも、「信じられない物語かもしれない」「おとぎ話のよう」と雪のナレーションで繰り返されていて、現実そのものを語っていないとお断りを入れているんだよね。