ANACONDA
『アナコンダ』マシュー・グレゴリー・ルイス〈英国ゴシック文庫〉
文学フリマで買った同人誌。『マンク』*1のルイスの短篇を翻訳。
セイロン島で資産家の秘書を務めていたエヴェラード。ある日、主人がいる小さな別館と屋敷の間の中庭に巨大なアナコンダが現れる。現地の使用人たちは恐れおののき、アナコンダが空腹になってどこかに行くまで、じっと音も立てずに身を潜めていなければならないという。しかし、それには何日かかるというのか。エヴェラードたちは、主人を助けようと、決死の作戦を試みるが……
物語の構造は、謎めいた紳士エヴェラードが資産を手にした方法が非道なものという噂があり、その誤解を解くためにセイロンでの出来事を語りだす、というもの。
当時、アナコンダの情報がどれくらい伝わっていたかわからないけど、作中に出てくるそれは、バジリスクのような怪物。しかし、それがいい。
アナコンダとの戦いは、
まず最初の攻撃を加えるがまるで効かない。
次いで、主人との交信が可能になる。
悪気はないが一番役に立たないメンバーのせいで危機に。
主人公の相棒の決死の努力で情報を得るが、彼は大怪我。
唯一残った作戦を決行し、ラスト。
と、まるでパニック映画のお約束を踏まえたような展開に因数分解できる。
200年前の作品だけど、今でも通じるモンスターものとして読むことができる。
ラストで駆けつける島民たちの理由が笑えるけど。
英国ゴシック文庫(1)となってるので、次も期待したいなぁ。