HERTLESS

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)

シリーズ第4弾

異界族と人類が共存するヴィクトリア朝ロンドン。伯爵夫人アレクシアは妊娠八カ月を迎えた。お腹の子の異能を恐れる吸血鬼の執拗な攻撃に、人狼団はある秘策を打つ。そんななか消滅寸前のゴーストが現われ、女王暗殺をほのめかした。凶事を防ぐべく暗中模索の捜査を始めたアレクシアは、やがて夫マコン卿と人狼団にまつわる過去の秘密と出会う――謎解きとユーモアと叙情が贅沢に織りなすスチームパンク冒険奇譚、第四弾

1巻*1のときはイマイチだなぁ、と思ってたのに、次で最終巻と聞いて寂しく思うとは!


キャラ小説としては完成していて、すべてのキャラが適材適所。
今回は、臨月を迎えたアレクシアが風船のように膨らんだ体で、女王暗殺を巡る陰謀に立ち向かうのが見所なんだけど、そのよたよたしている姿さえ、安心して読んでいられる(笑)むしろ、パラソル落とした時のほうがハラハラさせられた。
前回意外な顔を見せたアイヴィは実は最強認定?(笑)今まで有能なベータという顔だけを見せてきたライオールの秘密も明らかに。


物語は、吸血鬼来襲、ウールジー団の過去、女王暗殺、と3幕構成。
どれもシリアスな展開になりそうなのに、キャラクターたちがのびのびとドタバタをやるための舞台に徹している。ラストのスチームパンク的ビッグガジェットさえ、妊婦の活躍に華を添えるだけ。


作者も訳者も筆が乗っていて、アレクシア・マコロンとふわふわボンネットはいいなぁ。


次で終わりなのが残念。