BEASTLY

ビーストリー (角川文庫)

ビーストリー (角川文庫)

映画公開前に着手。

ニューヨークのお金持ちの子弟が集うタトル校。テレビの人気キャスターを父にもつハンサムな力イルは学校一の人気者。しかしそれを鼻にかけ、女子生徒にひどい仕打ちをしたために、魔女に野獣の姿に変えられてしまう――。現代にこんな魔法あり?! 約束の期限までに真実の愛に出会い、口づけをかわさなければ一生この姿のまま。果たしてカイルの運命は? 最高に甘くロマンチックな現代版美女と野獣、話題の映画原作!

文字通り、現代版『美女と野獣』。
考えてみれば、童話ってみんなパラノーマル・ロマンスだよね(笑)


パラロマだけど、YAなのでエロシーンはなし。いつも、濡れ場を軸にして感想を構築しているん身としては、武器を取り上げられたようなもの。
ただ、クソ野郎だったカイルが心を入れ替え、真の愛情を学んでいく、という展開で、醜くなった自分の姿では嫌われてしまうと考えているため、清く正しい交際をせざるを得ないというバイアスの掛け方は巧み。
また、盲目の少女だけが怪物を理解する、というのも定番だけど、それをヒロインと家庭教師に分けて、主人公の精神的成長に必要な対話に奥行きをもたせている。
しかし、一番ユニークなのが、呪いをかける魔女。彼女は決して性悪ではなく、むしろ守護聖人のようなんだよね。
一方で、カイルの父の描写は極めて希薄。それはリンディの父も同じなんだけど。親の存在はなく、自分たちだけで世界が構成されているっていうのは、YAの潮流なのかな?


まぁ、この作品を読んで一番感じたのは、金こそが現代の魔法だな(笑)


章初めに挿入されるチャットの存在をどう受け止めればいいのかがわかららない……