Project Nim

10/25に、第24回東京国際映画祭で上映された『プロジェクト・ニム』を観てきた。


1970年代のアメリカ。生まれたばかりのチンパンジー(ニム)を母親から引き離し、人間と同じように育て、手話を教えることによって、動物も言語能力を持ち得るか? という実験がテラス教授のもとで行われた。
教授は元教え子で、恋人だった学生の家に預ける。彼女は子沢山でニムを愛情深く育てるが、反面、手話も知らず、実験の記録もほとんど取らない。しかも、マリファナを吸わせるなどしたため、教授は他の女子学生に新しい母親役を任せる。さらに学長の元邸宅で生活を始め、手話の語彙も飛躍的に伸びる。
しかし、成長するにつれ、本能が目覚め、手話の先生の大怪我を負わせてしまう。
そこでプロジェクトは中止され、ニムは霊長類研究所に送られることに。
今までの生活はまるで違う環境に、ニムは深く沈んでしまう。しかし、飼育員の一人が彼を可愛がり、メスと同じ檻で暮らすようになって、そこでの幸せを見つけたと思えたが、研究所の財政難により、動物実験施設に売られることに……


全然知らなかったんだけど、当時のアメリカではかなり話題になった話らしい。
監督のジェームズ・マーシュは、「そういえば、ニムってどうなったの?」という出発点から、今回のドキュメンタリーを撮ったらしい。我等で言えばオリバーくん(or バブルス or ゴメス)ってどうしたの? という感じかな。


まぁ、あらすじ読んでいただければわかるように、非常に『猿の惑星 創世記』と印象がかぶる。早く脱走して! と願わずにはいられないほど悲惨。飼育員がいい人なのが救いだけど。
この教授がわかりやすいほど悪者で、髪の毛むしって肛門に牛追い棒突っ込まれちゃえよ! 最初の母親役同様、二番目の若い女子学生にも手を出して、しばらくすると捨て、ニムも同じように捨てる。
TV用に、1年後、研究所に面会に来る教授を見て、大喜びするニムが哀れすぎる。


教授は、ニムは手話をオウム返しにしているだけで、言語能力を持てなかったと結論付ける。しかし、他の関係者はちゃんと会話していたと証言。
この頃には、完全にニム視点になっちゃてるけど、会話しているように見えるんだよね。「あっち」という抽象表現も使うし。教授としては、実験の失敗、とは言いたくなかったんだろうけど。
実験の成否は別として、服を自分で着られるようになっていたチンパンジーを檻に入れちゃうってのは残酷すぎる。


ラストは、まぁ、ハッピーエンドと言えなくもないけど、そもそも、実験の成り立ち自体が人間の傲慢の何物でもないもんなぁ。