びっくりモンスター大図鑑

びっくりモンスター大図鑑―知識の泉へようこそ!ライアーランド王国公認

びっくりモンスター大図鑑―知識の泉へようこそ!ライアーランド王国公認

『びっくりモンスター大図鑑―ライアーランド王国公認 知識の泉へようこそ!』久正人〈国土社〉
児童書だし、何より高いんで結構悩んだんだけど(2分くらい)、架空博物誌及び久正人ファンとしては買わざるをえないでしょう。


世界の何処かにあるライアーランド王国の動物園で飼われている、ドラゴンやフェニックスなど幻獣のガイドブック。
モンスターが実在しているという語りは少なくないけど、日本ではこの本みたいなアプローチは珍しいかも。
既存の作品では『ダイノトピア』*1か、いや『フューチャー・イズ・ワイルド』*2とかに近いか。
実際の生物学、架空理論を織り交ぜて、幻獣を存在ではなく、あくまで生物として解釈している点がひじょうに面白い。ファンタジーのお約束を生物的必然性で語っていて、その生態を見て、神話や民話が創られていったという体裁。例えば、バジリスクは毒液をツノトカゲのように目から噴出するため、邪視の伝説が生まれた、とか。
生物にも妖怪にも造詣が深い作者ならではのさじ加減が絶妙。個人的には、スフィンクスの解釈は感動レベル。ケンタウロスの三対問題もちゃんと語られてるし。イエティもうまいし、ペナンガランとか渋いなぁ。
そういう内容を普通の学習まんがみたいに描いてるから、理詰めが故に逆にファンタジーを最後まで堪能できる。


お子様よりも、ファンタジーと生物が好きな大きなお友達にオススメ。