LA FAMOSA INVASIONE DEGLI ORSI IN SICILIA

シチリアを征服したクマ王国の物語 (福音館文庫 物語)

シチリアを征服したクマ王国の物語 (福音館文庫 物語)

シチリアを征服したクマ王国の物語』ディーノ・ブッツァーティ福音館文庫S-54〉
古本で探してたんだけど、さっぱり見つからないので新刊買い(最近このパターン多いな……)

昔々、厳しい冬の飢えと寒さにたまりかねたクマたちは、温かい平地を目指して、山を下りることにした。心優しいクマは、人間が温かく迎えてくれると思っていたが、残忍な大公が兵を差し向ける。さらに魔法使いや人食い鬼が立ちはだかり、冒険と激しい戦の末、クマたちはシチリアを治めることになるが……

表紙がクマー!て感じ(笑)
それはさておき。
文明批判的な内容なんだろうな、ということはわかってるんだけど、飄々とした文章と意外にハードな冒険譚はなかなか読ませる。予想通りとは言え、クマらしさを喪失していく後半は傍観するしかない歯がゆさ。
でも、一番の見所は作者による挿絵。隅っこの方でも動きがあって、見ていて楽しい。しかもそれだけでなく、かなり現実に対してシビアで、戦場シーンでは血を流したクマが倒れており、暖かみのある絵柄だけにかえってショッキング。
個人的には、やたらと長い登場人物紹介がツボ。登場人物紹介だけで終わってる小説とかないのかな? 
ところで、王様はあまり役に立ってなくない?