SLAVE TO SENSATION
- 作者: ナリーニ・シン,藤井喜美枝
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
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前回*1のトラウマが癒えぬまま、またもやパラノーマル・ロマンスに着手。
早くも、2アウトになるか……
ヒューマン、超能力種族サイ、動物に変身するチェンジリングが共存する近未来。サイは犯罪を捨てるため、幼いうちに感情を除去する。しかし、サッシャは感情を有しており、ばれれば処分されてしまうため、それを必死に隠して生活していた。ある日、豹チェンジリングとの共同事業を建前に、彼らをスパイしろという命令が。一方、チェンジリングの中では、連続殺人が起きていた。犯人はどうやらサイらしい。豹チェンジリングのリーダー、ルーカスはサッシャを利用しようとするが、敵対する関係ながら、惹かれあう二人。そんな中、新たな事件が起き、サッシャは命を賭けた作戦を提案するが……
さて、どうやって書こうかな。
パラノーマル・ロマンスは、「触れたら怪我をするような危険な香りのする男」が具現化していて、狼男とかヴァンパイアとか(前回読んだのは嵐を呼ぶ能力)、文字通り危険。それに対するわけだから、ヒロインは「本当は情熱を秘めた理知的なインテリタイプ」に収まる。少ないサンプルから推測するのは危険だけど、こういう認識でそんなに外れてないと思うんだよね(ヒストリカルはまた別?)
で、公平な目で見ると、今作のヒロインは本来感情を持っていないはずの究極のクールビューティ。そのパラノーマル設定と、愛によって感情が露わになっていくロマンス展開が無理なく結びついる。また、チェンジリング特有の絆も、愛と命を賭けたラストへの伏線となっていて、上手く描かれている。
一目で惹かれ合うのは大前提なので、そこは指摘しません。探偵が事件を無視できないのと同じ(笑)
正直、設定は悪くないんだよな。特に、サイ特有の精神のインターネット〈サイネット〉が面白い。ハッキングや、サッシャの真の姿がばれないようにするのも、殺人犯を捜すのも、彼女の命も、また二人の愛の行方もすべてがそこにつながっているため、ロマンス以外の大きな軸として、物語を引き締めている。
世界破滅の序曲かも、という展開も、さりげなく、でも大袈裟でもない。
ただ、ヒューマンが全くと言っていいほど出てこないんで、それなら、別にこの二種族だけの世界という設定でよかったような。
どうやら、60%以上盛っていただけの前回の方がイレギュラーだったのかも。
パラノーマル・ロマンスは、パラノーマル部分が面白くないと、とても読めたもんじゃない。そういうところは、日本のエロマンガと似てるかな(笑)
とはいえ、やはりロマンス要らんな〜。
ロマンス大幅に減らして、もうちょい詰めれば、異世界ミステリとして完成された気もするんだけど。
俺の読み方が間違ってる!?(笑)
というわけで、2アウトにはならず。
イソラで『裏切りの月に抱かれて』*2のつづき出さないの?