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燃える刻印を押されて (扶桑社ロマンス)

燃える刻印を押されて (扶桑社ロマンス)

パラノーマル・ロマンス〈サイ=チェンジリング〉シリーズ第6弾! 豹チェンジリング〈ダークリバー〉の近衛マーシーは、次々と仲間が“伴侶”を見つけてゆくことにあせりを感じていた。しかし、支配的で強いタイプの女性であるマーシーにとって、男性に屈服するような恋愛などできるはずもない。それなのに今、彼女を熱く惹きつけてやまないのは、保護欲の塊のような男ライリー。しかもよりによって彼は狼チェンジリング〈スノーダンサー〉の副官なのだ……巻末には特別短編を収録!

意外なことに、チェンジリング×チェンジリングカップリングはシリーズ初めて。
しかも、異種チェンジリング間ってどうなの? という読者の期待を先回りする作者の手際の良さは健在。そんなわけで、豹と狼の二人。


今回のペアは、以前から脇役として登場していたので、余計な説明はないうえに、二人ともケダモノなので、最初からお盛ん(笑)


このシリーズは、割れ鍋に綴じ蓋というか、何らかの心の傷やトラウマを持った二人が擦り寄っていくのが基本パターン。また、野性そのものチェンジリングと、その熱情に蕩けていく他種族の過程が推進力の一つになってるんだけど、今回はそれらがかなり薄い。
取り敢えず、やっちゃってから、問題は考える、といった感じ。
問題はあくまで、二人の地位と社会性のため、トラウマなどと比べて、それが解決していく過程はあまり推進力が強くない。


しかし、その分、これまで非常に影が薄かったヒューマンたちの陰謀がクローズアップ。
さらに同時進行で、サイたちの異常行動が目立ち始める。
また、今まで存在がほのめかされてきただけの、鳥のチェンジリングもついに登場。女傑たるマーシーのおばあちゃんもちょい役ながら良い味出してる。


狼と豹の子供はどうなるの? という誰もが持つ疑問に解答を示しながら、同時に、過去のメインキャラの妊娠や、ティーンエージャーのキャラクターたちの様子、さらには主人公たちの親や祖母も描かれ、シリーズとしての世代を強く意識させる。


面白いんだけど、作者があまりにチェンジリング好きすぎるのが丸わかりなんで、悪のチェンジリングも出して欲しいなぁ。